第6章 「ブランチ」
以前は野菜と言えばマヨネーズや
ドレッシングをかけずには
済まさなかったものだが、
今ではあまり使わない。
トマトはそのままで
食べた方がおいしいし、
リヴァイは今日のキュウリに
軽く塩を振ってある。
その軽い塩味だけで
キュウリも充分おいしい。
付け合わせのレタスやキャベツも、
おかずと一緒に食べると
それぞれの味が引き立つ。
ドレッシングやマヨネーズは
ここぞというとき少し
利かせるくらいが美味しいんだな、
ということは、
リヴァイの食べ方を見ていて
いつの間にか学習した。
以前の自分の食べ方ときたら
サラダをドレッシング漬けにして、
野菜を食べているのか
ドレッシングを食べているのか
分からなかった。
リヴァイは食卓にマヨネーズや
ドレッシングを出しているが、
最近はさやかもあまり使わない。
『何かねー、
リヴァイのごはんって
あまり余計なもの使う気に
ならないんだよね』
バゲット用に出ている
バターやジャムも、
以前のさやかだったら
パンを食べるなら
何か塗らなきゃと
ほとんど機械的に蓋を開け、
ベタ塗りしていたはずだ。
今では白いごはんのように
パンとおかずを食べて、
少し味の目先を変えたいとき
漬け物や佃煮をつまむように
一口文を塗り、という使い方になった。
「褒めても手の込んだもの出てこねえぞ」
照れていることが分かったので、
『別に下心で
言ってるわけじゃないよ』
と追い打ちをかけてみた。
するとリヴァイは何も言わずに
黙々と食事を続けた。
そんなところはかわいい。