第6章 「ブランチ」
「本当に俺が来るまで
自炊したことなかったんだな、
駅前の商店街とか
一人暮らしには宝だぞ」
リヴァイがむしろ
感心したように唸る。
「俺が来るまでどう生きてたんだ」
『えー、コンビニとか
お弁当屋さんとかー』
「ああいうのは
急場は助かるが毎日だとあきるだろ?」
『うん、飽きる。だから
食べるのめんどくさくなって
食事抜くときもあったり』
「...それは重大な問題だ」
リヴァイが急に叱る口調になった。
そんな声を聞くのは
ちょっと嬉しい......
なんて思ってしまう。
「若い時の無茶は年取ってから
全部ツケになって来るぞ」
『リヴァイが来てからは
ちゃんと食べてるよ、
ごはんおいしいなって
思うようになったし』
そう言うとリヴァイの顔が
かすかに赤くなった。
照れている。
「......そんな手の込んだもの
作ってねえけどな」
確かに今日の献立も
目玉焼きとボイルしたウインナー、
そして切ったトマトとキュウリが
それぞれのプレートに
盛られているだけだ。
バゲットは
切り分けて籠で出してある。
味はお好みでということか、
塩やマスタードなどの調味料、
そしてパンにはバターとジャムの小瓶。
『でも不思議と美味しい、
リヴァイのごはん』