第3章 「二人の楽しい計画」
『今の部屋で、私と二人で、
一万円あったらリヴァイは
どれくらい切り盛りできる?』
「米の買い置きがあると仮定し
一週間から十日の三食。
お前に弁当くらいは持たせられるな」
『ホントに?!
そこまでいけちゃうの?!』
「さやかの手取りはいくらだ」
『家賃と光熱費が
銀行引き落としで実質的に
手元に残るのは十二万くらいかな』
「随分と高給取りなんだな」
『ここね、リフォームしてるから
一見分からないけど
実は築二十年近いから家賃安いの。
だから間取りは新婚向けだけど
入ってるの独身ばっかりだよ』
「そういやマンションって
名前ついてる割には
アパートっぽい間取りだな」
『当たり。実態は集合住宅』
お互い名前しか知らないのに、
どこにそれほどの信用を
載せる棚があったのか。
楽しい計画を話し合うように
相談は続いた。
『じゃあさ、じゃあ、食費三万プラス
雑費一万で一ヶ月、やれる?』
「ああ、多分。贅沢しなければな」
『足りなかったら言って。
あとリヴァイ のお小遣い要るよね。
買うものとかあるでしょ?』
「ここを連絡先にしていいなら
近いうちにバイトを探す。
二人暮らしの家事なんて
大した分量じゃねえしな。
当座で一万もらえたらありがてえな。
それと自転車はあるのか?」
『持ってない』
「自転車買ってくれると助かる。
行動範囲が広がればバイトも探しやすい。」
『わかった。今日買いに行こう。
リヴァイ の生活用品も。
着替えも少しは要るでしょ?』
「ああ、だがそれは
自分でバイトしてから......」
『あのリュックに対して
服が詰まってるとも思えないんだけど?
古着は部屋着ばっかりだしさ。
リヴァイを引き止めたの私だし、
それくらいは初期費用で被るよ』