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恋して、ヴァンプ

第1章 恋して、ヴァンプ


……物騒なことぬけぬけと語ったよ、この人。


翔琉くん、仮にも彼女に、『死んじゃう』とか真顔で言っちゃ駄目だと思うの。
必死で助けた命でしょう?


勝手に死亡フラグ、立てちゃ駄目だよね?



一気に血液が急降下したあたしの顔色は。
たぶん真っ青だ。



「大丈夫。俺が凜ちゃんのそばから片時も離れないから」


いや。
それも、けっこう困る。


夏だし。
暑いし。


「ねぇ、それって。翔琉は?翔琉は、あたし以外の血液飲んでも平気なの?」
「凜ちゃん以外の血液なんて欲しくないよ」
「もし!もし、喉が渇いたら?もし、他の人間の血液飲んじゃったら?」
「…それは、平気だと思う」


あからさまに今、目、そらしたよね。



そらしたよね、今。




「翔琉」

「………はい、?」


泳いでる。
めっちゃ目、泳いでますけど。


「あたし、翔琉と付き合って1年立つよね?」
「立つ、ね」
「あたし翔琉に噛まれたことないよ?」
「……そうだね」


「……喉の渇きはどうしてたの?」


「………」




「浮気、だよね」





「ええぇっ」


この反応。
そーゆーことだよね。

全然知らない、誰かから血を貰ってたってことで。


誰かを噛むことで欲求を抑えてたんだとしても、だよ?
それって。
自分が欲情した相手、ってことになるわけでしょ?

何が、『凜ちゃん以外の血液なんて欲しくないよ』だ。


ちゃっかりしっかり。
頂いちゃってるじゃんっ




「凜ちゃーん、凛ちゃんの味知ったらほんと、凛ちゃん以外欲しくないんだってばーっ」


「知らない」




起き上がるのは無理だけど。
寝返りできるくらいには、体力が回復してきたみたいだし。
壁を向いて。
寝たふりを決め込むことにした。



「飲まないと死んじゃうんだよ?仕方ないじゃんかーっ」
「………」
「ねぇ凛ちゃーん」



欲情した相手にしか吸血しないのなら。
それはもう立派な浮気じゃんか。






「凜」







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