第1章 恋して、ヴァンプ
「つまり、あたしはまた、誰かを襲うかもしれない、ってこと?」
「いや、喉の渇きを癒せるのは俺しかいないから」
「?」
「凜ちゃんが、『欲する』相手にしか、喉の渇きも出てこない、ってこと」
「どーゆーこと?」
「凜の中に流れてるのは、俺の血だから。俺以外には発動されない。つまり、俺以外に凛の渇きを癒せるやつはいないってこと。まぁ、他の人間の血液なんか飲んだら拒絶反応起こすけどね」
「つまり?」
「凜ちゃんは、俺にしか癒せない、ってこと」
「……」
「あれ?わかんなかった?喉の乾きは、欲情の…………」
「わーっいい、いい、いい、いらない」
じゃ、さっきあたし……………。
翔琉に、翔琉の血の匂いに、欲情してたって、こと?
「だからあれは、性みたいなものだし、気にすることないって」
するよ!
気にするよ、それ!
あんなになる前に、もっとちゃんと説明とか出来なかったの?
あらかじめ、『喉の乾き』について、説明とかあってもよくないですか?
「だって凜ちゃん、いきなり俺が、『俺はヴァンパイアだ。凜ちゃんももーすぐ血が欲しくなるよ』なんて言って、信じた?」
「それは……信じない、ね」
「でしょ?ヴァンパイアの餓えはね、けっこう地獄なんだよ?喉が渇いたら、24時間以内には吸血しないといけないんだよ。俺が始めにそんな危ないこと口にしたら凜ちゃん、俺から離れるでしょ」
「う、ん……………まぁ」
ん?
「24時間たつと、どーなるの?」
「誰の血液でも、欲しがるになるよ。餓えると味なんてどーでも良くなるから」
「……つまり?」
「他の人間の血液を体内に取り込んだ時点で、凜ちゃん死んじゃうってこと」