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恋して、ヴァンプ

第1章 恋して、ヴァンプ


俺、『たち』?
媚薬?



ちょ、っと。
待って。

やっぱり。

じゃ、翔琉は。



「…………なに?」

「もう、知ってるでしょ、凜」











ーーーーーーーーー紅い瞳。










真っ赤な血液のように、深紅に染まる瞳は。





いつのまにか沈んでいた太陽にかわって姿を見せた満月に、よく似合っていた。













「俺に黙って飲み会なんかに参加した凜が悪いんだよ」


「え」



拗ねたようにあたしを見下ろす翔琉の瞳はもう元の栗色に戻っていて。
あたしのよく知ってる、翔琉。







「勝手に俺の知らないところで瀕死になんかならないでよ」

ベッドの傍らに腰を落として。
愛し気に髪を解かすように撫でる翔琉のくせも、いつもと何ら変わらない。
そう。
あたしのよく知る、翔琉の表情。
しぐさ。


全てがあたしの知る彼なのに。


だけど何か。



何か、違う。




「全身から血を流して目の前に横たわってる凜を見つけた時の俺の気持ち、わかる?」
「え?」


血を、流して………?



「凜が悪いんだよ」

「なに………………」


「凜を助けるためには、これしか方法がなかったんだ」





助ける?


方法?




「翔琉、何言ってるの?」





いつもよりも数倍も早く血液を押し出す心臓が、苦しい。
唯一動く腕を伸ばして、翔琉の顔に触れた。
触れた翔琉の顔はちゃんと暖かくて。
ちゃんと、血の通った人間。

人間。



に、見えるけど。



「俺の血液を、凜にあげたんだ。さっきのは、その反動。たぶん一気に俺の血液を体内に取り込んだせい。」




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