第1章 恋して、ヴァンプ
ドクン ドクン ドクン
なんだろう。
さっきから、喉の渇きが異常なくらいに強い。
この熱さのせい?
水分補給はちゃんとしてるはずなのに。
ノドガ、カワイテシカタナイーーー
暑い。
こんなに日差しって、暑かった?
刺すような痛みさえ覚えるような、暑さ。
暑い。
ノドガ、カワク。
「喉渇いた?」
___え。
思わず振り向いた先には。
さっき先生に捕まっていたはずの。
翔琉の姿。
「暑いからね、お茶のがいい?」
「………うん」
びっくりした。
『喉乾いた?』
聞いたことないような、低い声だった。
一瞬、心を読まれたかと思った。
そんなはず、ないのに。
「満たされない?」
「え?」
翔琉から受け取った冷たいペットボトルを喉へと流し込んでも。
潤いは加算されない。
いくら飲んでも。
癒えない喉の渇きに顔をしかめた時、だった。
「こんなもんじゃ、喉の渇きは癒えないでしょ」
「…………え」
見透かしたような。
翔琉の瞳。
より一層、動悸は激しくなっていく。
ドクン ドクン ドクン
心臓が、うるさい。
喉が、熱い。
なに、これ。
『欲しい』
『欲しい』
『欲しい』
『……………何、を?』
「…………は………っ」
喉が熱い。
息が出来ない。
『欲しい』
喉が、渇く。
「かけ、る」
「うん、あげるよ」
「こっち」と。
体中をはい回る熱の発散場所がなくて悶える体を、翔琉の冷たい手が誘導する。
「凜」
何?
頭が、痛い。
『欲しい』
痛い。
痛い。
痛い。
助けて、翔琉。