第1章 イルミ
「うん!今日は2人で取材だったの!あ、でもね!サルーンさんには、こーんなに小ちゃいお子さんが居て、一緒に周ったんだ。でね!その子が黒髪で目も黒色でくりくりしてて、、若干ね、イルくんに見えちゃったから楽しかったんだよ」
「…俺に?リーシャが言う、こーんなに小さい子が俺に見えたの?リーシャも大概だね。そんなことしてないで、早く帰ってきなよ。俺はここにいるんだから。」
じゃあ、この匂いはなんなんだ。結局、二度尋ねても核心に触れることが出来ず、早く家に帰って来ればいいもの、と至極普通なことを述べた。
それにきにする様子もない彼女よは「ふふっ」と笑って、また俺にくっついてきた。
あー、こんなに知らない匂いを纏ってこないでよ。
俺の知らないリーシャなんて…
(いつでも、リーシャはこんな感じだ。ごく普通の女で、ごく普通の思想を持って俺の独占欲を掻き立てる。)
…壊したくなるじゃん。
それでも、出来ないでいるのはきっと、この女を愛してるからなんだって分かり切った答えにしか辿り着けなかった。
ーーーーーー
あのさー、リーシャ、その匂いなんなの?変な匂いするよ。
え!!!?変?わー、どうしよ…。イルくんの誕生日プレゼントね、この香水にしようって思ってたの。
ちなみに、林檎の香りなんだよ?
…なにそれ。俺は暗殺者だし匂いは付けれないよ。しかもさ、プレゼントにするのにつけて帰って来ちゃったの?
…あ。たしかに。でもね!お揃いにしたいなぁって考えちゃって着けずには居られなかったんだ〜!
……来週、市場行こうね。林檎、うさぎにして。食べたい。