第14章 おたんじょうび会ダジョー
日がちょうど上をすぎた頃、掃除機かけを始めた私に松代さんから手紙を預かった。松代さんは今から出かけるらしく、家を出た時に手紙が届いたので、六つ子に渡してほしいとのことだった。六つ子宛の手紙なんて珍しい。さっき始めたばっかだったが、手紙を渡さないわけにもいかないので2階へ登る。
「ひ〜」
「ひ〜」
「ひ〜」
「ひ〜」
「ひ〜ま〜だ〜なぁ〜〜〜♪」
こういうの聞くと、やっぱり六つ子なんだなぁって思ってしまう。なんだこの謎の一体感。続いちゃうところが凄いよねえ。ガラッ、と部屋の襖を開ける。そして見事に平日の昼間から6人全員揃ってるのを見てため息が出そうになる。
「ねぇみんな。手紙が来てたみたいだよ。」
「手紙?」
「はい。」
「ありがとう……ってか字汚っ!なんて書いてあんのこれ。」
私が渡した瞬間、チョロ松が顔を顰めた。私も松代さんにもらった時、一瞬うわっ、って思ったから、気持ちは分かるよ。
「...あっ!ハタ坊からだ!」
「読めんの十四松?」
「ううん。でもハタ坊の匂いがする。」
「どういう匂いなのそれ!?」
「なつきの匂いもあるよ!」
「ど、どんな匂い…?」
「なつきの匂い!!」
「だからどんな匂い!?」
「なつきの匂いだよ!」
「……それ、永遠に続くやつだからやめなよなつき。それより読むよ。……お...た...ん、じょぉ〜び...か...い...やる、ジョー...」
「お誕生日会?ハタ坊の?」
「みたいだね、行く?」
窓のふちに座ってたカラ松が少し格好付けて言った。
「フッ、必要ないさ。なぜならこの世は毎日が誰かの...バースデーだからさ。」
「そういえばさ、ハタ坊って今どこに住んでるんだっけ?屋根裏?床下?下水道?」
「いやネズミじゃないんだから。でも、確かにプライベートが完全に謎だよね。あいつももういい大人なんだけどなー。」
見事にカラ松の言葉を無視したトド松。えっ、っていう顔をしたカラ松に少しだけ笑いがこみ上げてくる。ちょっとカラ松に寄って私が返事してあげよう。
「カラ松、行きたくなかったの?」
「! そういうわけじゃないんだがな。」
まぁ嬉しそうな顔しちゃって。誰か1回でもいいから反応してあげてね。可哀想。