第11章 おそ松の憂鬱
夜ご飯の準備をして、気がついた時は既に夕方だった。もうこんな時間か、と不意に居間を覗いてみると、長男はもういなかった。さすがに待てなくて外へ遊びに行ったんだな。今度は遊んでやろう、私も別に遊びたくないわけじゃないし。しかし、おそ松が遊んだであろうトランプは机の上に広がりっぱなしである。せめて片付けで出ていってほしかった。仕方ないからトランプを片付けようと思って腰を下ろしたところで、襖が開いた。帰ってきたのは機嫌が悪そうな水陸松。どうしたのだろうか、チョロ松はまだしもカラ松が怒ってるなんて珍しい。
「「ただいま。」」
「おかえり、どうしたの?難しい顔しちゃって。」
チョロ松がよくぞ聞いてくれた、と私の隣にドスンと座った。なんとにゃーちゃんの握手会に長男が現れたらしいのだ。しかも、貴重な握手時間全部長男がにゃーちゃんの手を握ってたらしいし、そのにゃーちゃんに向かって「セッ○○」連発したらしい。うわー、ないわー...
「ひどくない!?僕が何したってんだよあのクソ長男!!あいつはもう赤の他人だ!!あああああぁ...絶対にゃーちゃんに嫌われたよぉう...にゃああちゃぁぁん...」
かなり哀れだ。待ちに待った握手会も握手券も全部パー。悲しいな。
「カラ松兄さんは?長男絡みですかい。」
「...!あ、ああそうなんだ。聞いてくれるか?」
内容はいつもの橋でカラ松ガールを待っていたところ、後ろから長男が驚かしてきてビックリした衝動で下の川に落ちたのだそうだ。なるほど、確かに髪は湿ってる気がする。
「男前が上がったね、カラ松兄さん。」
「ほ、本当か!?フッ...水の滴るいいギルトガイとは俺のこと!!」
「はいはいギルトガイギルトガイ。」
調子を取り戻したカラ松がいつものように中二病発言をし始めたので、軽く流してチョロ松を見る。あれ
「チョロ松兄さん、トランプやるの?」
片付けようと思って束ねておいたトランプが綺麗に3等分されていた。
「え、やんないの?」
「やりたいならやるけど。」
さも当たり前のような顔をしたので、こっちが予想外だわ。3人で何する?と話してるところでトド松達が帰ってきた。
「ただいまぁ〜」
「え!?なになに、トランプっすか!?」
「.........」