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月下に閃く漆黒の刃

第2章 序章


「あ"あ"あ"あ"!!くそっ!このガキ…よくも…っ!くそがあああ!!」
咆哮をあげて襲い来る敵。しかし、その動きは私が走って逃げていた時とは違い、目で追えるほどに遅く感じた。
そして二撃目を繰り出そうとした瞬間、自然と視線は敵の首元へ引き付けられた。
(そこか!)

影の呼吸 弐ノ型 水面影

横薙ぎに一閃。靄(もや)のような影を纏った刀身が敵の首を斬り落とした。
すると、敵は何かを喚きながら塵となって消えていった。
「おわ…った…?」
辺りに静寂が戻ると、糸が切れたかのようにその場へ膝をついた。身体中が痛い。呼吸が乱れてきちんと息ができない。
急激に何かが込み上げてくる感覚に息を吐き出せば、吐き出されたのは血液だった。どこかの内臓が傷ついてしまったのだろうか。
意識が朦朧とする。
何故やったことも無い、使ったことも無い技を使えたのかはわからない。考える思考の余裕さえない。
――嗚呼、私はここで息絶えるのか。折角護る術を掴みかけたのに。これ以上何も出来ず、この命を終えてしまうのか。
自分で体を支えていられなくなりそのまま地面に倒れ込む。
「くや…し、なぁ…」
視界が歪む。意識を手放しかけた時、誰かの足元が見えた気がした。

「君は死なない。俺が死なせはしない」

そして私は意識を手放した。





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