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月下に閃く漆黒の刃

第4章 鍛錬


3日後、とりあえず傷が塞がったので鍛錬開始となった。
ただの小娘だった私は肺活量や基礎体力、もちろん筋力、脚力と全てにおいて足りないものだらけだった。
ということでまず最初に指示されたのは基礎体力の向上。裏手にある山の中を一日中走り回れというものだった。必要最低限しか体を動かすことのなかった私にとってはまさに地獄の日々。夜は筋肉痛で身の置き場がなくてなかなか寝付けず寝不足気味。
これが約2週間続いた。本当に地獄だった。

『いいか、神影。影の呼吸を扱うには力に振り回されないようしっかり鍛錬をつむ必要がある。影とはそれ即ち闇。強力な力を手に入れられるが、力に呑まれては意味が無い』

あの人本当に私を育てる気あるのか?殺す気か??とか思ったこともあったが、そもそも何もかもが足りないところから始めた私にとって、これは本当に必要なことなのだと最近思い始めてきた。
………まぁ、相変わらず自分の体をいじめ抜いていることに変わりはないのだが。
(まだ大丈夫。山の酸素の薄さにも段々肺が慣れてきた。次の段階は罠が仕掛けられるみたいだけど、落ち着いて呼吸を整えていけば大丈夫なはず)
修行を始める前、宇練さんから告げられた一言。
影の呼吸の習得は、その修行の過酷さ故に宇練さんが引退してからは習得出来ずに命を落とす者ばかりだったのだとか。
まぁこんだけ辛い修行が続くなんて思いもしないよね。私自身、よくもまぁ投げ出さずに今も生きて修行に励んでると思うよ。うん。
今日は少し体を休ませようってことで素振りのみ。
私にとっては素振りのみでも結構辛いのだが。
こうして山の獣道を走り回る(罠あり)、素振り、腕立て伏せや腹筋などの筋力増強を繰り返す日々を約3ヶ月耐え抜いたのだった。
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