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【進撃の巨人】今日から君は調査兵団【エルヴィン】

第5章 月刊『壁男』と夜会



――やっと解放された・・――解放感から人目も憚らず会場の中央で思いっきり背伸びをする。
「おい、どんなマナーだそれは」
背後に人はいないと思っていたが、違ったようだ。先ほどからいたのかもしれないが気付かない。
「リヴァイ!」
予想通りほぼ同じ背丈の三白眼がこちらを見ていた。
「お前が寄越した本を読む限り、明らかにお前の行動はマナー違反だ」
ちゃんと読んでくれていたようだ。生意気なそぶりをしても、必要ならば努力をし、素直に話を聞く。リヴァイと出会って訓練施設で会話をしていると、彼のそんな人となりが良く分かった。恐らく嫌だっただろうが服装も礼服だ。ネクタイは拘りがあるのだろう、他の人のように蝶ネクタイではなくクラバットをいつものように身に着けている。
「カッコいいじゃん」
誉め言葉は無表情で流すが、内心悪くは思っていないだろう。
「馬鹿いえ。俺はもともとセンスがいい」
感情表現が豊かではないが、心はあるのだ。そんなリヴァイだからこそ助けたくもなる。
「お前が印をつけていたページだが・・」
リヴァイがエリナに何かを聞きかけた所で長身の美丈夫が視界に入った。

「エルヴィン分隊長、壁外はどんなところですの?」
「巨人と戦うのは怖くないので?」
「そろそろ嫁を貰っては?」

煌びやかな衣装を身に纏い、細い腕をエルヴィンの腕に絡ませる貴族令嬢たち。外套とマフラーを預ける暇なく囲まれているエルヴィンはそれでもスマートに受け流しているのだろう。令嬢たちは白い頬を上気させて女の顔をエルヴィンに見せている。自分もあんな笑顔ができたら生きやすくなるのだろうか。身に着けている衣装は黒一色、地味で華やかさのかけらもない自分が途端に恥ずかしくなり背を向ける。
「熱くなっちゃった。ちょっと風にあたってくる」
リヴァイに言い残し、足早にバルコニーへ出た。
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