第2章 レストランにて
---カランコロン—-
ミケがドアノブを回すと、リズムよくベルが鳴った。
少し頭を低くして入るミケを見ると、本当に大きいのだと感じた。2m近くある彼の高身長っぷりは並んで歩けばよりわかる。
何か会話をするため目線を合わせようと努力するも、160㎝に満たない身長のエリナは首が痛くなってきた。
ドアを抑え入店を促すミケに気づかぬほどにエリナはその身体を凝視してしまう。
「そんなにミケを見つめたいか?」
背後から揶揄うエルヴィンの声が聞こえて、とっさに否定した。
「違います!いや、大きいなって!!」
男性とは言え身体的特徴を言うのは、いささかセクハラをしている気分になってしまったが正直な感想だから仕方がない。
「・・フンッ」
ーーー鼻で笑われた・・。嫌な感じ・・。―――
促されて入店すると、背後からいきなり首筋に呼吸が聞こえる。
---クンクンクン—-
「えっ!?」
驚いて振り返ると右肩にミケの顔があった。ミケの高い鼻がわずかに首筋を撫でる。
「きゃっ!!」
驚いたエリナはとっさに距離をとる。
「え!?何か私、臭いですか?」
男性に臭いをかがれるといったことは、経験した事がない、記憶する限りだが。恐る恐る聞くも返ってきた答えは、
「・・・フンッ」
嘲笑されただけだった。
ミケの“いつもの癖”が出たのを見たエルヴィンとカルロは互いに目を合わせ、ほくそ笑む。
「良かったな」
カルロの一言にエリナは疑問を投げかけるが
「お前のことを知りたいってことさ」
返ってきた言葉はエリナをさらに困惑させるだけだった。