第3章 創り上げられる信頼
エレンの温かい体温に安心してしまった私は、あれからわんわんと子どものように泣いた。
その間もずっとエレンは私のことを包んでくれていた。
やっとのことで引いてくれた涙は、エレンの胸元をびしょびしょに濡らしていた。
水分で変色してしまったエレンの服を見て、申し訳ない気持ちがじわじわと湧き上がってくる。
ゆっくりと体を離し、俯いたまま謝った。
「ごめん、エレン。…みっともないとこ見せちゃって。」
呟くように言ったので、エレンに届いたかは分からなかった。
すると、エレンは私の頬を両手で包み込んで、優しくエレンの方へ向かせる。
エレンの表情と言ったら、まるで天使のような笑顔を浮かべていて。
親指で私の両目尻をスルリと撫でた。
「みっともなくなんてないよ。
そんなシャーロットさんもすっごく可愛い。」
涙の跡を辿っている指が細くて優しくて。
思わずエレンに全てを委ねたくなってしまう。
「シャーロットさん。」
「なに…?」
「…俺、返事は今じゃなくていいです。
いつか、シャーロットさんが俺のことを好きになってくれるまで、俺頑張りますから。
だから、返事はイェスしか受け付けませんからね!」
そう言って私の目の前で輝く笑顔。
眩しい、眩し過ぎるよ。
私はそれに釣り合った笑顔を浮かべられているだろうか。
そうだね、と私も私なりの笑顔を浮かべ返事をした。