【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第2章 海の兵として生きる
Side.Arto
毎年海軍志願者は多くおり、その中にも同期と呼ばれる同じ時期に入った者たち。その中に一際目立つ小さな女の子…少しは大人びているがそれでもまだ少女と呼ぶ方がいい女の子はかなり目立っていた。
『なにか、御用ですか?』
「あ?」
『いえ、後ろからすごい視線を感じたものですから。私はアン。あなたのお名前を聞いても?』
「俺は…アルト…」
『よろしくお願いします、アルト!』
こいつは本当に海軍志望なんだろうか。そもそも、基準年齢を満たしているのか。俺より年下であろう少女はその手を差し伸べていた。
入隊式で感じた視線が今も続いていた。後ろを振り返り挨拶をすると名前を教えてくれた。アルトさんは、私よりも年上でありそして、一見怖そうなお兄さんだ。でも、握手は返してくれたのでいい人なのだろう。
「お前…いくつだ?」
歳を聞かれ黙ってしまった。おじいちゃんに“異例なことなので歳はまぁなんとかごまかしてくれ”と言われていたのを思い出した。が、無理なので諦めてもらおう。私はいくら大人びているとは言えまだまだ子供なのだ。
『10歳…実はおじいちゃんの権限で早く入れてもらったの。』
「なんだ、祖父は軍人か?まぁ、親に無理やりってやつか。」
『違うよ!私は私の意思でここに来たんだよ!』
「そうか、まあ、頑張れや、お嬢ちゃん」
頭にポンと手を置き、去っていく青い髪の青年。すごく上から目線なのはどうかと思う。
『久しぶりにカチンと来た…はッ…いけない。抑えないと…』
そう、まだ始まったばかりなのだ。エース、サボ、ルフィ、3人とも今頃怒っているだろうが...私頑張るからね!
空を見上げれば、青く澄み渡っており“頑張るぞ”とさらに気合を入れた。
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訓練は本当に地獄だった...がおじいちゃんに普段から厳しい訓練を受けていた私はなんとかやっていくことができた。
基礎体力作りに、海賊、海軍、山賊や天竜人に対する知識の勉強、正義に対する思い、階級について、覇気、六式を修得するものだった。が、覇気、六式に関しては個々の能力や相性、素質があるので希望者だけだった。何度も何度も海賊とはいかに非道なものかを教え込まれた。