【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第14章 世界を見る旅
「…す、すいま…」
『ちょっとやめてくれません? せっかくの酒の席なんですから。』
対抗で覇気を飛ばす。覇気同士はぶつかり合い相殺され空気が軽くなった。
「おい、俺はお前のために言ったんだぞ?」
『私はあなたのものではありません。』
「そりゃねェよ、アンー」
『まぁ、海賊なんでしょう? 奪ってみてください。クス』
シャンクスはふてくされていた顔を少し持ち上げて、ニヤリと笑った。
「本気で言ってるなら…俺はもう手加減しねェ。誰にも渡す気はねェからな。」
『まぁ…最終的にはどこにいくかは私が決めることです。せいぜい口説いてみてください、シャンクス』
ニコッと笑みで返すと…シャンクスは口元を押さえて自身の髪のように頬を赤らめていた。
「おォー、みたか。ヤソップ」
「おう! あの女たらしの船長が悩殺されてんぜ?」
「おいベック!!聞いたか今の!!!!!」
「何をだ。お花畑のお頭」
「アンのやつ! 俺のことを挑発してるぞ!!しかも、シャンクスって呼んだ!!あァーー!!」
1人何かを悶々と言っているシャンクスを冷たい目で見ていた。それはベックと同じだった。
「でもよー、ベンは愛称で呼ばれてるよな。」
「おれも、ヤソちゃんって呼んでくれりゃいいのによ!」
「おいおい、それを今言うと…」
「おい、アンッ!! 俺のことはシャンと呼べ!!それ以外は返事しねェ!!答えねェ!!」
と子供のようなことを言い始めたのだ。
「ほら、言わんこっちゃねェ」
『……』
「ほら、呼んでみろ!シャン!」
『………』
「ほらッ!! アンッ!!」
『……ない。』
「ん?なんだ? 聞こえなかったぞ?」
『…絶対に呼びません。』
ピシャと音がするような冷静な声だった。
「呼んでやりゃあいいだろ?ほら、お頭が端っこで拗ねてるぜ。」
『私は女たらしは興味ないです。おじいちゃんも言ってました!
お前は赤髪には毒されるな…ッ…て』
グラリと傾く視線…重力に逆らわなくなった体。そしてまぶたがだんだん落ちていく。
『…ねむ…ぃ』
ゴンと音がしなかったのは、きっと誰かが支えてくれたんだろうその体温に包まれながら、私は久しぶりの夢の中へ落ちた。