【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第14章 世界を見る旅
「本当に行ってしまうのか。」
『うん…傷も治ったみたいだし。世界を見たいんだ!』
「…ふッ、アンも海賊に染まってきたようだな。」
『え? 海軍じゃなく海賊?』
「えェ、まるで自由を求めてるみたいよ。」
「姉様たちの言う通り、旅をするのにワクワクしている顔をしてるわ。」
『…確かに。すごく楽しみ!今まで海軍のために生きてきたようなものだったから、今は自分のために好きなことができると思うとすごくワクワクする!』
「…そうか。ならばあまり引き止めるのはやめよう。またいずれどこかで会うだろう?」
『うん、もちろん! また来てもいい?』
「あぁ、歓迎しよう。」
「これは今日の新聞にょ。選別に持っていくがにょい。」
『ありがとうございます、にょん婆様。』
「いいか、アン。よく覚えておくのだ。妾たち九蛇海賊団は其方の味方じゃからな。」
『ありがとう!みんなー!!またねー!!』
別れの挨拶もほどほどに、私は一隻貰った小舟で海に駆け出した。
帆がついていようがいないが、私には関係ない。
『まずはどこに行こうか。』
波のいくまま、気の向くままに進むのもいいだろう。しかし、1つ気をつけねばならないことがある。私は死んだことになっている人間…前と同じ容姿で行くと確実に見つかって処刑になってしまう。
『あ、そうだ!』
カバンに1つ入っていた果物ナイフで、ザクリと髪を切った。ふんわりなびく黒の髪がエースと同じで好きだった。目はお母さんに似たのか、エースと色が違って、顔もエースはお父さん似で私はお母さん似で双子でもそっくりなのはこの癖っ毛のある黒髪だけだった。
『エースはこの髪を見たら残念がるかしら…』
思いっきり切った髪は潮風にのり海に落ちていく。ショートになった髪の毛は、気持ちも身体も軽くした。
お化粧道具も譲ってもらった。少し化粧をすれば化けるだろう。この案でいこう。
『まずは…そうだな。海軍本部にこれを送ろうか。』
そこにあったものはトーンダイヤル、写真…全ての記録はあのカージマス中将の事件の時にラック軍曹たちが集めてくれたものだ。
『証拠を消し忘れたことを後悔するといいわ。』
届けてもすぐに証拠にはならないだろう。念入りに調べたのちに結論を出すのは元帥だ。
『まずは今の地位から引き摺り下ろしてあげないとね。』