【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第13章 気持ちの果てと未来へ
海岸に着くと、海に近づき触れる。私は能力者だが力の源は海。水の力なので他の能力者のように力が抜けることはない。
『ただいま…私を生かしてくれてありがとう。』
私は知っていた。海が、私やラック軍曹を運んでくれたことも。
血を堰き止めてくれていたことも。おかえりと海が言ってくれているように波がチャプチャプと手に触れる。
『また力を貸してね。』
意識を集中させ、海流を作るように九蛇の船を捕む。ぐらっと一瞬船が揺れたが、大した問題ではないだろう。そのままゆっくりとこちらへ引き寄せる。前にいる大蛇が少し驚いた顔をしていたが…にっこりと笑っていた。
『海は全ての母…逆らうことはしないよね。本能的にわかる生き物は…』
船は引っ張ったおかげで30分近く早くつき、迎えの者たちが間に合っておらずワタワタとしていた。
『クスクス…』
「今戻った…先ほどの海流はアンか。」
『えぇ…お帰りなさい。ハンコック。』
「ふっ…良い。助かったぞ、礼を言う。」
どうやらしつこく海軍に追われていたようで、それが撒けたようで皆がホッとした顔をしていた。
「見て…あの光景を…蛇姫様とアン様!すごくお綺麗だわ!」「とても絵になるッ!」「ッ直視できない!」
周りがザワザワとしてきていた。綺麗なんて言わないでほしい。私はハンコックに劣るのだから。
「また…妾との比較をしておるな。妾が美しいのは世界が認めておるが…その妾が認めるほど其方は美しいぞ。自信を持つのじゃ。」
『フフ…お世辞でもありがとう。』
ハンコックとソニア、マリーと共に九蛇城へ戻った。
ここはイーストブルー ゴア王国
「じゃあな、ルフィ!! 先に行くぜ!」
「エ、エーズゥ!」
「俺は先に海に出る!一番目はアン!次にサボ!俺たちはまた海で出会う、必ずだ!」
「う"ん!」
「いつまで泣いてんだよ!! 先に名をあげて待ってるぜ!!」
1人海を漕ぎ出していく、男あり。家族と別れ、生き生きと海に出るその様はまさに海賊。これが、この男のスタートであった。
「俺は…お前が死んだとは思ってねぇぞ。俺たちは双子だ。感覚が共有できるはずだ。生きている。そして、また会ってあの時のことを謝らせてくれ。……アン」
誰かの声が聞こえた気がした。