【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第13章 気持ちの果てと未来へ
ハンコックさんのところでお世話になって幾日も経過した…元々能力者であったこともあり、やはり回復は早いようでみるみる傷は塞がって行った。
「なかなか能力者とは興味深い…なぜそんなに早く治癒できるのだ?」
『さぁ…能力者の全ては解明されておりませんので。』
「この様子だと、あと1週間ほどで完治してしまうぞ。残念だが…傷跡は…」
『いえ…結構です。この身体を見るのは私だけですので。』
「なにッ…思い人??とやらはいないのか??」
『え、えぇ…』
「そうか…男とは美人には強引に行くものだと思っていた。いい話を聞いた。」
ベラドンナはニコニコと笑いながら、診察を終えたことを伝えた。
『ありがとう…もう動いても大丈夫なの?』
「あぁ、街の中を歩きたいといっていたな。案内させようか。」
『いや、そんな仰々しいものじゃなくて…私、あんまり世界を見たことがなくて。島を一度ゆっくり見てみたかったの。』
「そうか…わかった。ゆっくりみて回るといい」
流石に数週間近く一緒にいるので、安心され信用されたのかすぐに外出の許可は出た。ハンコックはまた海に出ているようで、お供の者たちも何十名かいないようだ。しかし、ここは女ヶ島アマゾンリリー。女帝がいないとて、全ての国民が戦士であるために何人たりとも侵入を許すことはなかった。
『まぁ、立地的なものもあるんだろうけど。』
女ヶ島は大きな岩を塀にして町が中に作られている。塀の外にはジャングルがあるようだが…動物たちも彼女の強さの前じゃものともしないだろう。
『海は本当に広ーい!!!』
塀に登り、高いところから町全体をそして広がる海を見た。
『海は見ている、世界の始まりを…か。』
よく海を見ながら、青キジさんが歌っていた歌を思い出した。まだ、何ヶ月も経っていないのにもう懐かしい人物だ。
『元気にやってるだろうか…書類溜めてないといいけど。』
海を眺めて物思いにふけっていると、遠くの水平線に船影が見えた。大きな大蛇が引き連れるその船はカームベルトを越えてこちらに向かってくる。カラーンカラーンと蛇姫様が帰ってきた合図の鐘が鳴る。
ここにいては怒られるだろうか。
『少し船足を早めてあげようか…』
崖から飛び降りて、なまった身体を動かすついでに海岸へ向かった。