【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第92章 リゾートアル島 6日目
「だから、俺たち隊長格は能力は使わないという結論を出した」
「これは多数決で決まった決定事項だ」
「俺たちの船長は親父だ。その親父が望んでねェなら結論は変わらないよい」
「悪いな、アン」
「ごめんな、アンちゃん、みんなの総意で俺の力は使えねェ。親父の時間を戻すってのは無しだ」
「辛い選択だが…な」
悲しそうな顔で言うみんな、気持ちはきっと一緒。ほんとは長生きしてほしい、もっとって思ってる。でもそれでも人間の倫理から外れること、そして、親父様の意見をとった。
『……わかった…』
そんなみんなの意見を無視して、能力の行使なんてできない。
「わかったならよい、そんな顔するなよい」
「最期の時まで楽しもうぜ」
「そうだ、親父がいる間はいつもみたいに笑ってよ」
「飲み食いして、騒いで、そんで」
「もし最期の時が来たらそんときゃ、笑顔で見送ってやろうぜ」
辛い選択になっても、それが総意なら……
『うんッ…』
言えなかった…言わなかった……どっちかはわからないけど。ナースやデュースから無理矢理聞いた親父様の寿命。
ーーー長くてあと2年と言ったところですわ
ーーーこのまま戦いを酷使すれば…1年持つか
「グララララ、何しけた面してんだァ?」
「ガハハハッ!ほらこっち来て飲まんか!」
「今行くよい」
「クソジジイは飲み過ぎなんだよ!」
「うるさいわい!!」
みんなが私に背中を向けてゆっくり親父様の元へ歩いていく。別れの時は迫ってる。それでもみんながいいっていうなら、私は
『従おう…』
「「「アンーーーッ!!!」」」
『今行くよーー!!』
親父様と別れるその時まで。
「で、アンや、ひ孫はいつ見れるんじゃ?」
『は?』
「ッゲホゲホッ、何言ってんだクソジジイ」
「わしももう歳じゃからなー、かわいい孫のアンが心配でたまらん。早いこと婿を見つけて、わしに挨拶にこさせて、ひ孫を見せてほしいんじゃ。」
「それなら、私が海軍から選りすぐりの男を紹介しようか?」
「グララララ、バカ言ってんじゃねェ。アンはうちの奴らから選ぶんだァ」
『え?』
「「「「へぇ……」」」」
「なんでこっちみんだよい」
「なにぃ!?!決まったやつでもおるのか!?」
『いや、そんな相手ッ、』
「グララララッ、慌てるくらい近いのかァ?」