【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第91章 リゾートアル島 5日目
朝方からすごい勢いで起こされた私は、今なぜか島の一番高い丘に来ていた。
『サボ?なんでここに?』
「あー、そうか。アンは昨日聞いてなかったんだっけ?」
サボは困った顔をして頬をかいていた。
『あ、昨日の話?』
「そうだよ。いろいろ考え込んでたからな。今からな、あそこに行こうと思うんだ。」
『あそこ?』
サボはゆっくりと指を上にさしていた。
『え?空?』
「そう、空島って聞いたことないか?」
『あるけど。』
「いったことは?」
『ない。』
「そうか!じゃ、行くか。」
サボは私の腰を掴み抱き寄せると、自身の足をその能力で風に変えていく。
「アンからもらったこの力のおかげでどこにでも行けるようになった。ありがとうな」
サボはにっこり笑って、身体を浮かせていった。
『あれは半無理やりだから。気にしないで?それより、なんで空島なの?』
「誰かに見られながらデートってのはどうも好きになれねェんだよなー。エースとかあの、なんだっけ、マルコ?ってやつもくるだろ?絶対に」
『それはあるね』
「だから、来れないところにな?」
『マルコは飛べるから来れるんじゃない?』
「いや、雲の上にも海はある。それを知ってる能力者はそう簡単に突っ込んでは来ないさ」
サボはきっと念入りに準備をしていたんだろう。現にまだ船が見える上空だが、誰も追ってくる気配はない。
『それだけじゃないでしょう?』
「あァ、分かるか?」
『何したの?』
「ちょっとだけ睡眠ガスをな?」
ニヤリと笑うサボは悪いことを企んでいたエースやルフィと同じ顔をしていた。
『ふーん。それより海があるってわかってていいの突っ込んでも。』
「アンが助けてくれるだろ?」
そう言った瞬間にドフッと音を立てて雲の中に入った。そしてしばらく上昇していくと急に雲が濡れたように重くなり、サボは力を使えなくなっていた。すぐに能力を使って雲の海の上へ上がった。
「ゲホッゲホッ!!な?海があるだろ?」
『そんなびしょびしょでカッコつけられても。よいっしょっと。』
どうやら雲の海でも操ることはできるようで、水面を歩けるように膜を張った。
「はぁー、死ぬかと思った」
『突っ込む前に水膜でも貼れば良かったね。』
「あ、その手があったのか!んじゃ、また降りるときに頼む」
サボはだいぶ回復してきたようだ。