【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第90章 リゾートアル島 4日目
サボが明日のことについて話していたが、全くと言っていいほど頭に入ることはなかった。
「で、行こうと思ってんだけど。どう思う?」
『え?』
「聞いてたか?」
『ごめん、聞いてなかった。』
「やっぱり、なんかあったんだろ?」
『親父様がもう長くないかもしれない』
ポツリと呟けば、“どうしてそう思うんだ?”と優しい声が返ってきた。
『…わからない。直感なの。』
「そうか。」
『何事もないといいんだけど。』
「心配しててもキリないだろ?ナースの人たちに話しとけよ」
『うん。で、明日はどこ行くって?』
「そうか、聞いてなかったんだよな。じゃあな、秘密だ」
ニカッと笑ったサボに頬を膨らますも、行き先は教えてもらえず、サボは部屋を出て行った。
『…親父様』
すぐにナースの人たちに伝言を走らせた。
『頼んだよ、みんな』
〔任せておいてくだされ〕
〔行ってくる!〕
走りましたミケたちに持たせた紙には【親父様は長くないかもしれない。様子見を頼む】と書いておいた。
『あと、これをサッチに』
〔うむ〕
ワシのように大きな水獣にサッチへの手紙を隠した。
『決行日は、島滞在の6日目』
何を決行するかもきっとわかるだろう。あの島で決めたサッチとの約束は一つ。
『親父様を若返らせよう』
ただそれだけを願った。
Side.Thatch
女の子たちと遊んでいるときにやってきた大きな声で水色の鳥。
「マルコか?」
そう思って空を見上げると、それは炎ではなく水だということがわかった。
〔サッチだな、我が主人からの預かり物だ〕
そう言って偉そうな鳥は俺に一枚の紙を投げてきた。
〔渡したからな〕
それだけを言った瞬間、パシャんと水の鳥が崩れ落ちた。
「アンちゃんからだろうけど、なんだこれ?」
それ手紙には走り書きで【決行日は6日目】と書かれていた。これは俺とアンちゃんの約束。マルコたちに一応話していたことだが、こんなに急ぎになるとは思わなかった。でもアンちゃんが誰にも言わずこれを決断したということは、きっと親父に何かあったんだろう。
「お兄さん、遊ぶの?」
「いや、今日は気分ならねェからやめとくわ」
「そうなの?残念〜」
脇に抱えていた女たちに幾らか持たせると俺はすぐにモビーに戻った。
「どうするっかな〜」