【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第1章 思えば始まりはいつも…
『じゃあ、お留守番よろしくね』
「あァ…早く帰って来いよ。」
「俺たちなら大丈夫だからな!」
「肉のお土産も頼むぞ!!」
今日、フーシャ村におじいちゃんが迎えに来てくれることになっている。私は3人に“今日はマキノさんのところで用事がある。”と話していた。
本当は用事なんてない。もうここには戻ってこない。
本当のことは言えないが、3人は見送りに来てくれていた。いつも通りの姿に少しホッとして、これで海軍に集中できると思った。
『それじゃあ、ダダン、エース、サボ、ルフィ、みんな!行ってきまーす!!』
少しの荷物を手に持ち、フーシャ村に続く道を進んで行った。ダダンたちは本当のことを知っているから、3人の後ろで少し寂しそうな顔をしていた。
「「「行ってらっしゃい!!!」」」
グズッと涙が出そうになるのをグッと堪え、前を歩いて行った。
もう会えなくなるわけじゃない、またいつでも帰ってこれる。みんなに…怒られるかもしれないけど。
ーーー
ーー
ー
フーシャ村にはもうおじいちゃんが来ており、海軍の部下たちを引き連れて待っていた。
「よう来た!さァ、いくか!」
『はい、アンです!!これからよろしくお願いします!』
頭を大きく下げて海兵さんたちに挨拶をすると、みんな“よろしくー”と大きく声を上げてくれた。船に乗り込み、みんながいるであろう山を見上げ、小さく別れを告げた。
Side. Ace
おかしい…アンがいつまで経っても戻ってこねェ
俺は朝、出かけると言う妹を見送った。夕方ごろには戻るだろうといつもの狩りも早めに切り上げ3人で待っていた。が、もう日はとっくに暮れている。
「戻ってこねーなー、俺腹減ったぞー」
「何かあったんじゃねェか?」
「なァ、ダダン」
名前を呼ぶとダダンたちが肩を大きく揺らした。
「なんだい…?」
「アンは本当にフーシャ村に行ったんだよな?」
「あァ…あ、当たり前だろ?」
うそだ…直感でそう思った。ダンッとダダンの首元を掴み、俺はダダンの上に乗り上げた。
「答えろッ!!!あいつはどこに行ったんだッ!!」
「エ、エースッ!!何してんだよ!」
「「ッ…おかしらッ!!」」
「答えろ!!ダダン!!!!」
ダダンは少し黙った後、俺を跳ね除けて起き上がりながら言った。