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【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...

第1章 思えば始まりはいつも…


番をしていた犬がいつもより多く吠えていた。何事かと思って外に出てみれば、そこに立っていたのはボロボロになったルフィだった。

『ッルフィ!!』
「た…ただ、いま」

一言言うと、バタンと倒れてしまったルフィを急いで中に連れて傷の手当てをした。部屋で寝ているルフィをそっと覗いていたエースに声をかけた。

『帰ってきてよかったね。』
「…ッふん!」
『ねぇ、エース…もっと仲良くできないの?根性…あると思うよ?』
「そんな問題じゃねェ!!こいつは俺たちみたいに迫害を受けたわけでも、言われのない罪を着せられたわけでもねェ!こんなみんなに愛されて育った生っちょろい奴に用なんかねェよ!!」
『……ッうらやましい?』
「ッアン…お前にそんな顔をさせたかったんじゃねェ。俺にはお前とサボがいる。それだけで十分だって言いたかったんだ。」
『ッ…わかっ、てる…ぅ。』
「泣くなよ、頼むから。」

そうだ、私たちは生まれたことが罪。さまざまな人に疎まれ、蔑まれる。父親がそれだけのことをしてしまったから。

エースの悲痛に同じように生まれた私も感じるものはあった。そうだね、羨ましいよね。みんなに愛されているこの子が。

「おい、寝るぞ。」
『うん』

その日は久しぶりに2人おんなじ布団で寝た。私たちは2人で1人…寂しさも何もかを隠すようにエースの体温にゆっくりと意識を手放した。

ーーー
ーー


それから、エースとルフィが仲良くなるのに時間はかからなかった。雨の日も風の日もついて行き続けたルフィに2人は根負けしたのか、何かあったであろう傷跡は“男の勲章だ”とルフィに言われて仕舞えば、詳しく聞くことはできなかった。気はすごく合うようで毎日毎日楽しそうに3人で過ごしているところを見た。

『これで大丈夫そう…』

ダダンに電伝虫を貸して欲しいと頼みに行くと、“あいつらには話したのかい”と心配の言葉が来た。

『ううん、話さないで行くよ。だって、私たち敵になるんだよ?そんなこと言えば3人とも止めにくるでしょ?』
「ほんとにいいのかい…それで」
『うん、大丈夫。3人いればなんとやらってね!』

ゆっくりと電伝虫のボタンを押し受話器を上げる。

プルプルプルガチャ[はい、こちらガープじゃ]
『あ、おじいちゃん、アンだよ。』

その日は唐突に訪れた。
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