【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第90章 リゾートアル島 4日目
『じゃあ、遠慮なく。』
そう言って素直にお金を払ってもらった。やはり、サッチは完全なお兄ちゃん気質だ。
「ま、これマルコから借りた金なんだけどな?」
『あ、それ言わなきゃ感動してたのに。』
結局マルコに出してもらってるのかい。って感じだった。
「じゃ、俺はここまででいいからな。」
『え?』
「毎日、兄弟の誰かといたら疲れるだろ?今日くらいゆっくりしてくれよ。明日はあの革命軍の小僧となんだから」
『…サボだよ』
「そうだな。」
サッチは本当に優しいな。
「ま、俺が女の子をナンパしたいだけだけどな。」
『だから、最後のやつがなければいいのに』
なんで残念なやつなんだ。
「じゃあなー。気を付けろよー」
サッチはすぐに走って近くを歩いていた女の人に声をかけていた。ま、こう言う日があってもいいかと思ってサッチと別れて、少し街から離れた丘の上に行った。
そこからは街の賑やかな景色はみえず、少し歩くと崖があり見渡す限りの海が広がっていた。
『あれ?』
そこにある小さなお墓にはお花が添えてあった。
「お姉さん、その人の知り合い?」
『え?』
後ろを振り向くとそこには小さな女の子がいた。
『いいえ。家族か誰かなの?』
「ううん、ひいおばあちゃんが昔面倒を見てあげた海賊だって。お母さんから聞いたの」
『そうなの。』
「歌が好きな海賊でね、ひいおばあちゃんに会ったときはもうすでに病気だったって言ってたよ。」
『ふーん』
「よくねビンクスの酒を小さく呟いてたって言ってたよ!ほら、そこにその海賊の旗のマークが書いてるでしょう?」
女の子が言うようにお墓の後ろには海賊旗が器用に彫られていた。ハートの鼻を持つ牛の骨格の海賊旗。
『そう。海賊だったんだね』
その海賊旗は見覚えのあるものではない。もしかしたら海賊時代が始まる22年前以上の話になるんだろうか。
「じゃあね!!」
女の子は元気にバイバーイと手を振りながら走っていった。
『ビンクスの酒を届けにいくよ…海風気任せ波まかせ…』
お墓の横に座って、歌を口ずさむと気のせいだろうが楽器の音が響いたような気がした。お墓の旗の下に小さく彫られていた名前は“YOKI”と書かれていた。
日が沈んでいく海は綺麗な赤色を映し出していた。
『さ、帰ろっかな。』
明日のこともあるし、みんなが待ってるか。