【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第88章 リゾートアル島 2日目
『お兄はん、ええ男やねぇ…』
「…よい」
いや、人見知りかよ!もっと喋れよ!
マルコは注がれたお酒をぐっと飲み干して、おかわりをする。エースやサッチのように鼻の下を伸ばして話をしてこられるのも嫌だが。
『こう言うお店は苦手です?』
「ねぇちゃん、やめとけやめとけ!!そいつは今好きなやついるから!!」
『あら…ほんまぁ。』
「サッチ!余計なこと言うなよい!!」
「そんで思いも伝えることができない腰抜けだからな!」
サッチはお酒がよく回っているんだろう。いつもよりも強気でマルコに話していた。
「やるかよい?」
「あ?本当のことだろ?」
『やめておくんなまし。ここはわっちらの家どす。喧嘩するなら他所でやっておくれやす』
そう言うとマルコたちも気圧されたのか、喧嘩はやめた。
「姉さん、すごいな。俺でも止めれないぜ?つか、隣騒がしくね?」
「ああ…隣も有名な殿方が来てるんどす。」
「へぇ〜。誰なんだ?」
「四皇の赤髪はんです」
「「「は?」」」
そりゃ驚くだろう。真隣に敵が同じような酔っぱらいながら座っているんだから。
「あ、あの隊長はん?」
エースはむくりと立ち上がり、部屋の境目にある扉をバンッと開けた。
「シャンクス!!」
そう一言大きく叫んだ。向こうの様子を見るとやはり頭を抱えているベックと花魁の胸元を弄りながら茫然と固まっているシャンクスたちが見えた。
『隊長はん。困ります』
「悪ィ悪ィ!喧嘩はしねえから大丈夫だ。」
何が大丈夫なのか教えてほしい。
『すんまへん。』
「かまへん。御客はんも怒っとらへんからな。」
何があったのかはよくわからないが、二つの部屋は一つとなり宴のような雰囲気になっていた。お酒の力もあり喧嘩もなく互いに互いで酒を酌み交わしていた。
「でな、そん時のルフィのやつがな!!」
「おうおう!で!?」
「ここの進路はあっちに行けば…」
「そうだねい。その航路ならよい」
「お姉さん〜こっちで膝枕して〜」
「あらあら、サッチはんは甘えん坊どすな」
なんて、明るい雰囲気に包まれていた。がその雰囲気を壊すように障子が開いた。
「遅れたな」
そう言ったのは黒髪の美人…いや、イゾウだ。
「あれ、イゾウ…アンちゃんは?」
「あ?まだ気付いてなかったのか?」
「何が?」
『遅い…酒臭い匂いに包まれて私がかわいそう』