【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第88章 リゾートアル島 2日目
立ち上がるとみんなの視線はこちらに集中した。
「お、おまえ…まさか…」
『双子なのに…気づかないなんてお化粧ってすごいね』
サーッと青くなる奴らが4人。サッチ、エース、シャンクス…そしてマルコだ。
『お姉さん、着せてくれてありがとう。』
「また来ておくれやす。ドッキリは好きどすえ」
『ん。』
「じゃ。かえるか」
『ほな、皆はん。ごゆっくり〜』
「ちょっ!ま!!」
「アンちゃん!!」
「アンよい!!」
「アン!!!」
それぞれが叫んでいるが、私は早く重い服が脱ぎたくて仕方なかった。
「お前さんは誰もを虜にできるのか?」
『クス…そんなのできるわけないじゃない?』
「ッ///こりゃ、参った」
両手を上げて降参のポーズをするイゾウにはてなマークが浮かんだ。部屋で重い服を脱ぎ、着ていた浴衣に戻してもらった。
「メイクはそのままで帰っておくんなまし」
「似合っとるよ」
『ありがとう!』
少しだったが、花魁体験なんて貴重だろう。楽しかったのは言うまでもない。
「ドッキリは成功だな。」
『だね!』
「これでしばらくあいつらも静かになるさね」
『いや、むしろ逆でしょ?』
「そうかい?」
もちろん、エースたちは顔を真っ青にさせてままだった。後々、なんでか知らないが謝りに来る連中が絶えなかったのは言うまでもない。
『イゾウ!楽しかったよ!新しいこともたくさん知れたし!』
「そりゃよかった。お前さんはおれの可愛い妹だからな。いつでも遊んでやるさね」
『うん!!』
イゾウは部屋まで送ってくれた。浴衣はプレゼントということなので大人しくもらっておいた。
再び鏡の前に座ると、化粧をしている自分の顔を見た。普段より幾分も綺麗になっており自分が本物なのか疑うものだ。
『でもやっぱり、素のほうが私は好きだな。』
付けていた髪飾りや、化粧を軽く落としてお風呂に入る。隠されていた刺青も全てが元どおりになった。
『これでこそ私。』
というか…どうしてあの人たちは目で気づかなかったんだろうか。
私の目は左右非対称。見聞色を使った生活に慣れたせいか、時折義眼だということを忘れてしまうことがある。
『…はぁ。マルコ…好きな人いたのか。』
ポツンと出した言葉だったが、私は勘違いをしていたのではないだろうかと思った。
『好きっては難しい…』