【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第88章 リゾートアル島 2日目
「失礼します〜」
下に手をつき、同じように挨拶をする。
『よう起こしやす〜、赤髪の旦那はん』
「おォ…こりゃいい姉ちゃんたちだ!!こっち来い!」
シャンクスは完全に酔ってるみたいで、ベロベロしながら前にいた花魁さんの胸元に抱きついていた。それをベックマンも冷たい目で見ていた。
「ほら、挨拶しぃ?」
『はい…水李と言います、よろしゅうお頼もうします』
「今日入ったばっかりなんよ?少しの無礼も多めに見てくれやす」
「おぉ、構わねぇからな!こっち来い!」
先に花魁のお姉さんがシャンクスの元に酒を注ぎに行ったので同じように近くの瓶を持ち、ベックマンのところに向かった。
『お兄はんも一つどうですか?』
「あァ」
トプトプとベックマンにお酒を注ぐ。きっと気付いてないんだろう。
『ベック…』
「あ?」
小さく呟いた声に反応したベックマンは私の目を見てようやく気付いたようだ。
「おま…ハァー」
『どうかしました?』
「いや…好きにしてくれ」
『お頭はんはまた女の人にダラシがない人ですね〜』
「やめてやれ」
胸を弄るように花魁の服に手を入れているシャンクスは完全に鼻の下が伸びている。
『…あれがお頭でいいのか』
「素に戻ってるぞ」
『あら…すんまへん』
なくなっているお酒を注ぐと、シャンクスと目があった。にこりとほほ笑むとヘニャリと照れていた。
『ほんと…頭がゆるい人』
「やめてやれ…」
『私は浮気性の人とは付き合えないわ』
「お前は不死鳥とひっつくだろ?好きにさせてやれ」
『いや、引っ付くとか…』
「水李?お隣でご指名やよ」
『はい。では、ごゆっくりしてくれおす』
「あァ」
呼び出されたところに先ほどのように入る。
『失礼します…ようこそお越し下さいました。よろしゅうお願いしますぅ』
そう言って下げていた頭を上げると、こちらもまた酷い光景だった。サッチやエースもシャンクス同様に鼻の下を伸ばして花魁さんと親密になっている。マルコは…1人で飲んでいるようだが、隣に花魁がいて酒を注いでいる。
「水李は奥の殿方を頼むえ?」
『わかっとります』
奥にいるのはマルコだ。ゆっくりと歩いて目立たないようにマルコの近くに行くと、花魁のお姉さんは席を外してくれた。
『お兄はん…一杯いかがどす?』
酒瓶を少し傾けると“よい”と言う言葉だけ聞こえた。