【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第88章 リゾートアル島 2日目
『へぇ〜』
「そりゃ驚いた。」
「にはっはっはっはっ!!そうだろう?俺は凄いからな!!」
「赤髪の船にこんな常識知らずの野郎が乗ってるとはな」
『シャンクスの名を語る前に自分で手配書でも見直せば?』
男はかなりブチギレているんだろう。ぐぬぬぬぬなんて声を出しながら、刀に手をかけていた。
「お頭と俺を馬鹿にした罪はその首で払ってもらうぜ」
「おーおー、やってみろ。」
イゾウは腰につけていたホルダーから愛銃を抜き、男に向けていた。
「アンは座ってな」
『はーい』
近くにある荷物の山に腰かけると、イゾウとその男の戦いが始まった。まぁ、戦いといってもイゾウは完全に遊んでいるようだが。
バンっと一発の銃声が響いた。イゾウのものではないその音に後ろを振り返ると、眉間にシワを寄せたベックマンが立っていた。
『ベック…部下の躾ができてないよ?』
「すまんな。どうも、うちの奴らは馬鹿ばっかりでしっかりと顔を覚えやがらねェ」
『早く連れて帰ってよ。』
「邪魔したな。白ひげ海賊団1番隊副隊長 水姫のアン。16番隊隊長 二丁拳銃のイゾウ。」
わざと部下に聞こえるように名前を言ったんだろう。名前を聞いただけで震え上がるように真っ青な顔をしている男。
「あ…お、ま…」
「ったく、デートが台無しだよ」
「そりゃ、悪いな。こいつは連れて帰るぞ」
「あァ」
ベックは男の首根っこを掴んで引きずりながら歩いていく。
「あ、そうだ。お頭は今花魁と酒を飲んで動かねェ。できれば動かしてもらえると助かるんだが?」
「ククク…気が乗ったらな」
『楽しそうなこと思いついたけど?』
「そうかい?俺もだ」
こういう時のイゾウは悪い顔をする。
「店の名前…聞いとこうかい」
「…花屋敷だ」
それだけ言うとベックは振り返ることもなく、消えて行った。私たちも近くのカフェに戻りお茶をしていた。
「花屋敷…って言ったら今日サッチたちがいくはずだったところさね」
『へぇ〜』
「エースとマルコも行くって言ってたが…」
ピクリと少し動いただけだった。
「気になるかい?」
『イゾウは意地悪ね』
「ククク…もう店が開く時間だからな。お前さんも準備がいるねい」
『え?』
イゾウの黒い笑顔を見ていたら食べようとスプーンに乗せて口に運んでいた白玉がぼとりとお皿に落ちて行った。