【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第88章 リゾートアル島 2日目
イゾウに引かれるままに歩いて甲板に向かうと、煽てるようにみんなが声をかけてくる。
「お、今日はイゾウ隊長か!!」
「似合ってるぜ!アン隊長!!」
「いってらっしゃーい」
「ククク…顔が赤いぞ?」
『うるさい!』
甲板から降りて町を進んでいくと、イゾウは場所を覚えているんだろう。他のものにも目もくれず、一目散に昨日行っていた場所へと歩いて行った。しばらくするとカクンと勢いをなくすように止まったイゾウに驚いた。
『イゾウ?』
「着いたぜ?」
イゾウの背中しか見えてない景色を少し横に移動して確認すると、目の前には見たことのないような街並み。
『うわぁ〜すごい!』
「ここは俺の故郷に似せて作ったアトラクションブースみたいだな」
『あそこに書いてある文字!なんて書いてるの!?』
近くに立つ旗にかかれている“喫茶”という文字。イゾウの国の言葉のようで普段の人なら読めないだろう。ちなみに近くに行き甲板を見ると私たちも読める字でしっかり“カフェ”と書かれていた。
「お茶屋さんさね。後で来るかい?」
『うん!!』
近くお店にはキラキラとした金平糖という砂糖菓子や、イゾウが普段髪に挿している簪があった。
「そういや…それ…」
イゾウが指さしたのは私の髪に刺さっている簪。
『あぁ…シャンクスが2年前の誕生日にくれたやつよ。こんな時ぐらいしか使えないし…なによりも。みんなが手入れをして残してくれてたから』
「…アン」
『ありがとう。大事なものだったから…嬉しい!』
「そうかい。他、見るか」
『うん!!』
町をゆっくり見ると、本当にワノ国の細工は綺麗で細やかだった。
「これは扇子って言ってな…暑い時にこうやって仰ぐと風が来る」
『涼しい!!そして綺麗!!』
実演もあり、ワノ国に付いてくわしくなったような気がした。
「おいおい、そこのねーちゃん2人!2人っきりならうちどうだい?」
下劣な笑みを浮かべた男。この島を貸し切りにしているからきっとまだこの島に残っていたやつだろう。
「あ?俺様に見惚れて声もでねェってか?」
『何寝ぼけてんの?』
「だいだい、俺たちの顔で誰かわからねェような小物に用はないさね」
「あ”!?!」
男は頭に青筋を浮かべていた。
「俺がどこの海賊に所属してるかわかってんのか!?あの四皇の赤髪海賊団だぜ!?」