【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第87章 間話 Side.Marco
船がいつの間にか見えていて、おぼつかない足取りでサッチが隣で支えてくれていた。ふと目線をあげるのとそこにあいつはいた。支えてくれていたサッチを突き飛ばして獣化した。
「あ!おい、マルコ!!!」
そんな声が後ろから聞こえたが振り返りはしなかった。
「こんなところで何してんだよい?」
『おかえり、マルコ』
「あァ、戻ったよい」
その見上げるような視線もたまらないねい。
『マルコ、酔ってる?』
「いーや。」
『酔ってるよね?』
覗き込むような顔…飲みすぎた酒、2人きりという状況についに俺はその一線を超えた。
「アン…好きだよい」
『え?』
そう言った俺は気持ちが完全に満足したんだろう。眠たくて重かった目蓋を閉じると、バランスを取ることが不可能になった俺はメインマストから落ちる。必死に手を伸ばしたその手も掴むことさえもできずに重力に逆らわずに落ちていく。
焦った顔をしている。だが、その必死な姿に…幸せだねい。なんて時と場所も考えずに思った。そこから完全に俺の意識は途絶えていた。
目を覚ますとそこは自分の部屋の天井で、周りには誰もいなかった。窓の外を見て、もう朝だと言うことを理解した。
「寝過ぎたねい」
酒臭い身体を風呂で綺麗にして、食堂に行くと待ってましたとばかりにサッチが飛んできた。
「な!!マルコ!昨日、アンちゃんのところに行ったこと覚えてるか!?」
「あ?アンは酒場にはいなかっただろい?」
「本気で言ってんのか、この子」
「この子なんて言われる歳じゃねぇよい」
なんかあったか?と記憶を掘り起こしてみても、酒場からどうやって帰ったのかも、部屋にどうやって戻ったのかも思い出せなかった。
「昨日、なんかあったかよい?」
「アンちゃんのやつ、怒るぜ?」
「な、何かしたのかよい?!」
「知らねえよ!!アンちゃんか、おまえ自身に聞けよ!!!」
バンと机を叩いてサッチは何処かに行ってしまった。
「アン…?なんかしたのかねい。」
まったく思い出せない記憶にモヤモヤとした気持ちが残っていた。
「そういえば、アンはどこだよい?」
「今日はイゾウとデートだよ。」
「あ、そうだったかよい」
駄目だな。記憶が全然出てこない。こりゃ…
「歳かねい」
「馬鹿野郎が!!」