【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第87章 間話 Side.Marco
「お前もあのマーク見たんだろ?」
「あ?」
「あー、なるほど。だからサッチがニヤついてやがったのかい」
「なんだ?今更な話題だな」
四方から聞こえてきた声に、傷づいてなかったのは自分だけだってのかと思い知らされた。
「お前さん、ほんと鈍いな」
「マルコよ、もう気づいているのだろう?」
「アンのこと」
当たり前だろい?流石の俺でもあんなマークを彫られりゃ自惚れが自信に変わるってもんだよい。
「…どうして言わない」
「言うタイミングが掴めないんだよい。」
かなりの小声だったと思う。だが、シンとしていた店には響いたようで大笑いされた。
「なんで笑うんだよい!?」
「女には絶対困らなかったあのお前がな!」
「こりゃいい!!」
響き渡る笑い声は散々俺を馬鹿にしていた。
「お前らいい度胸だねい」
チラリと燃え出した炎に焦りを真っ先に感じていたのはサッチだった。
「お、おい!落ち着けよ!」
「あ?」
「お前にいい情報もう一つやるから!な!」
「いい情報?」
耳を傾けて聞いた。
「アンちゃんの初恋の相手はお前だってよ」
「は?」
頭が思考を止めたのはすぐにわかった。俺たち2人にしか聞こえてないような声で話された意味のわからない言葉。
「本気で言ってんのかよい?あいつの初恋は赤髪だよい?」
「ありゃ、ただの憧れだ。親父とナースたちが聞き出したんだぜ?嘘なわけあるかよ」
自信満々に言ってのけたサッチはゴクリの酒を流し込んだ。
「な?自信持てよ。自惚れなんかじゃないってな」
「…知ってんだよい。」
「ぬぉぉー!?!」
ムカつくほどきらりとした笑顔に俺は自慢だと言うフランスパンを潰しておいた。それから、気分は一気に良くなり注がれた酒もそこらへんにある酒もドンドンと飲んでいった。
「あー…」
「あーあー、もしもしー、聞こえてますか?」
冷たい床に寝転んだのはついさっき。火照った身体にはこの冷たさが心地よかった。
「聞こえてるよい。」
「マルコ、大丈夫ー?」
「当たり前だよい?」
「うわ、いつものマルコの顔じゃない。こんなゆるんだ笑顔知らない」
「しゃーねー…今日はお開きにするか」
「あいよ。先に連れて帰んな。」
「おう。おい、マルコ帰るぞー」
「おー」
自由に体は動かなくても気分が良ければ全ていい。
「大丈夫かよ…」