【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第87章 間話 Side.Marco
「あれ見てないんだ。お前」
そう言って隣の席に座ったのは言うまでもない。
「お前は見たのかよい?」
「当たり前だろ?ありゃいいマークだったぜ?」
「気になるねい」
「そこでだ。ここにそのマークを彫った時にアンちゃんが彫り師のおっさんに見せてた紙がある。」
サッチが一枚ぱらっと見せた紙は裏向けられていて、何が書いてあるかは分からなかった。
「交渉だ。」
「何のだよい」
「金を300万ベリー貸してくれ。」
「はぁ!?」
「遊ぶ金ねェんだよ!貸してくれよ!」
「それは返ってくるんだろうねい」
「次の報酬の時に返すさ」
「そりゃいつのことだよい。まぁ、いい。乗ってやるよい。」
「さすがッ!」
一度部屋に戻ると、隠しておいた金から束を出し食堂に戻る。そこでは“待ってました”とサッチが座って手を伸ばしていた。
「ほらよい」
「ありがとな!!流石だわ〜長男様は!」
「お前は金遣いが荒すぎるよい。」
「そんなことねェのよ?ほら、これ」
そう言ってペラっと渡された紙をポケットに直した。
「あ? 今見ないの?」
「仕事が先だよい。」
「はー、休暇だってのに、働き者だねェ」
「こう言う時に根詰めてこそだろい?さっさと貯めてるやつ持ってこいよい」
「バレてたのね」
「当たり前だろい?」
サッチは頭をかき、罰が悪そうに目を逸らしていた。俺はすぐに部屋に戻る。いつも賑わっている廊下や看板に人の姿はなくもう野郎共は外に出かけて行ったんだろう。
部屋の机にはすでに積み上げられた書類の山がある。これは全部エースの隊やハルタたちが溜めていたものを一気に出したやつだ。
「ここまで来ると…流石にもう少し厳しくするかねい」
椅子に腰掛けるとカサリとポケットから音がなる。サッチにはあぁ言ったがあいつの前で見たくなかっただけだ。
紙を開けるとそこに書かれていたマークに少しだけ胸が高鳴った。
「こりゃ…」
単調にかかれた青い炎の片翼。その反対側には少し小さめに書かれている水の片翼。背中合わせになっている。
「さすがにこりゃ誰のマークかなんてすぐにわかるだろうよい」
自惚れちまうよい。一生消えないマークとして身体に刻んだその気持ちを俺は知りたい。
「自惚れちまうよい…アン」
俺たちの気持ちが同じなら今もこれからも形は何も変わらないんじゃないのかい?どう思う?