【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第84章 特訓
Side.Thatch
『サッチが出来ることがわかってきたね』
「ハァハァ…そうだね」
島に入って2日目の夜。能力を見続けてそう言った。長時間にわたり、能力を使って“進めたり”、“戻したり”と何度も何度もした。おかげでもう意識しないで使えるようになったけどな?
『まとめると…サッチの能力は物や人の時間を進めたり、戻したり出来ると。物に関しては原材料まで戻せるが、なかったことには出来なかったね。』
「そうだな…進めるのもその逆で、元々の銃ならそこまで以上に変化させることはできなかったしな。」
周りを見渡すとそこら中に散らばる銃や鉄屑、剣の折れた物や木の棒…など。まぁ、簡単に言えば残骸だな!
『…怪我に関しては…』
アンちゃんが暗い顔をした。ここの動物には悪いが、実験をさせてもらった。
ウサギや狐から大きな獣を使い、怪我を負わせる。そのあと時間を決めてそれを巻き戻す。怪我は確かになかったことにできた。が…
『まさか…一時的にだなんて…』
予想外だったと小さく言葉を吐いた。もしかしたら…覚醒の段階まで行ければ何か違うのかも知れないが…。
傷を負った獣は時間を巻き戻し、巻き戻した分の時間が経てばその傷は元に戻っていた。
“親父に使うために持ってきた”と言ったアンちゃんはその頭のどこかで完全に時を戻せると思っていたんだろう。
「落ち込むなって…な?」
思っていたより成果は上がっていたが、やはり治癒の力がないことが納得できないと言った顔をしていた。
『サッチ…最後に試して欲しいことがあるの』
「ん?」
アンちゃんに案内されてたどり着いた先にあったのは木…それは古い木だった。
『これの時間を10年分戻して欲しい』
「あぁ…。」
2人で力を出してついた技。
「時空進行:タイムスキップ」
淡く光り出す木はその姿を変えて、若々しく生えているそこら辺の木と変わらなかった。
『…ッ水面刀:ウォータースライサー』
アンちゃんの手から出てきた水の円盤は木を深く抉った。あと一歩押せば、倒れるくらいに。
『これをさらに10年戻して治して欲しい』
「あぁ…」
同じように力を使ったはずだった…がどれだけやっても木は戻ることがなかった。
「どうなってんだ?」
『じゃあ、一時的な治癒はできる?』
「やってみる」