【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第82章 関係
〔主人様の体はまた治りきっておりません。〕
〔無茶をすれば命に関わります〕
『クロとシロは口うるさいのね。ミケはのんびりだし…』
膝でグーンと伸びて寝っ転がっているミケはとても可愛いものだ。
『クロ…エース呼んできて?内緒で。』
〔…はぁ…わかりました〕
クロはきっと面倒見がいい性格なんだろう。スタッと降りると扉をすり抜けて行った。
『〜♪〜♪』
丸い窓から見える景色は波が高くモビーを飲み込もうとしているようだ。少し口ずさむと、大きかった波は勢いをなくし、小さく収まっていった。
〔起きたの?〕
〔大丈夫?〕
『心配しないで…何ともないわ。』
〔よかった、よかった〕
〔また、来てね〕
〔待ってるよ〕
波に紛れてきていたであろう、彼らは静かに戻っていった。
Side.Ace
マルコがアンと喧嘩?というか行き違った日、夜も暮れた頃にマルコとサッチは血塗れのアンを抱えて帰ってきた。何も言うことなく医務室へ運ばれたアンはナースたちの慌ただしい声の中治療が進められていった。
「アンはッ!?無事なのか!?」
「エース隊長!ここはお任せください!中には入らないで」
バタンと閉められたドアは、それ以降開くことはなかった。あれから4日、心配のあまり毎食後に必ず見に来ることにした。プレゼントやら見舞品を持ってくるやつが大量にいた事もあり、部屋の外には【面会謝絶!船長命令!】と大きく書かれた紙が貼ってある。
部屋に1人戻り、アンが起きねェ理由を考えていると、パシッと頭を強く叩かれた。
「なんだよ!って、おまえッ!!」
そこにいたのは小さな黒い猫で、それはアンが使っている奴だった。
〔主人様が呼んでいる。人に気づかれないようにとのことだ。ついて来い〕
猫の後ろに立つとスーッと霧が出てきていた。
「あ?なんだこれ?」
〔主人様も使っているだろう?蜃気楼だ。馬鹿なおまえに言っておくが姿が見えなくなるだけで声や実態はあるからな、気を付けろ〕
“こいつ…”と青筋が浮かんだが、相手はアンの猫、手が出せねェ。とりあえず、アンに会いたいと言う気持ちから俺は黒い猫の言われるままに医務室へ向かった。
〔よいか?無茶はさせるな?〕
スーッと扉を1人で通り抜けていく、猫に続いた。