【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
Side.Thatch
「理由が言えねェ?なんでだよい」
マルコは珍しくイライラしていた。それもそうだ。親父の決まりで無益な争いは禁止になってる。たとえそれが海賊同士でも。
俺には薄々感じていた。ただ襲ってくるだけなら、覇王色なりして蹴散らせばいいだけだ。こんなに無残に殺すところみたら…。
“家族を馬鹿にした”ってことなんだろう。
だが、俺だからわかるだけで綺麗なところにいたマルコには理解できないようだ。
〔帰れ、今お前たちの船に主人様を返す気はない〕
「あ?」
「落ち着けって、マルコ」
〔我々は泣かせるなと言ったはずだ。こんなに傷けておいてぬけぬけとよく顔を出せたな!〕
シャーっと猫が威嚇するそれとはレベルが違う。完全に俺たちを敵視している。
「マルコ…」
「俺が傷つけたのは認めるよい。だが、このことに関しては話は別だよい。何のためにこいつらを全員殺したのか…俺は理由が知りてェんだよい」
〔…馬鹿者め。自分がいつまでも守られていることに気づかぬ奴などに教えることなどないわ!〕
〔帰れ!〕
『…クロ、シロ…やめて。』
シャンと何かの鈴の音がなった。目線を上げるとそこには最後の1匹に支えられながら歩いてくるアンちゃん。俺が別れた時と同じところに包帯があるが、それは血に塗れ、とても清潔とは言い難い格好をしていた。
『…マルコ、サッチ…』
「どういうことがよい、説明しろい」
『…殺されかけたから殺した。ただそれだけよ』
「は?」
冷静に放ったアンちゃんの言葉はマルコの眉間にさらにシワを増やした。
「それでまとまると思ってんのかい」
『…海賊だからね。殺されそうになったら殺すでしょう?』
「親父には無闇な殺傷は禁止と言われなかったかい」
『…無闇じゃないわ…殺戮を楽しんだわけじゃないもの。殺されかけた。それが理由よ』
「……今回は大目に見てやるよい。ただし今後同じことがあれば船を降りてもらうよい」
『…構わないわ』
何でそうなんだよッ!と正直突っ込みたかった。アンちゃんの目は最初にあった頃のように冷めていて、冷たい目。
〔主人様ッ、もう!〕
そうアンちゃんの隣の猫が話した時、ズルリと体が滑り落ちアンちゃんは倒れた。
「アン!何したんだよい。」
〔触るな!!主人様は!!お前たちの為に〕