【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
Side.Marco
アンを探すために町を駆け回っていた。
「くそ…やっぱりサッチに消えた場所を聞いとくんだったねい」
どれだけ聴き回ってもその跡すら掴めずにあるもどかしさが苛立ちを募らせていた。
「マルコ、見つかったか?」
「ちょうどいいところに来たよい、どこで別れたのか聞こうと思っただよい」
手当てがされているサッチは急いでかけてきたようで、自慢のリーゼントも崩れていた。
「俺がアンちゃんを最後に見たのは…あそこの…っおい、あれ!!」
サッチが指差した方向にいくつも上がる水の柱。あれは…
「アンちゃんになんかあったんじゃねェか!?」
「急ぐよい!!」
俺はすぐに不死鳥の姿へ変わり、サッチを脚で掴むとそのまま飛び上がった。
「いててて、いてェって!」
「我慢しろよい!」
水の柱の近くまで来た時、バシャンと水が重力に逆らわずに下に落ちていった。
「降りるよい」
地面に足をつくとそこにはむせ返るような血の匂い。少し歩くとそこには男たちの死体がゴロゴロと転がっていた。
「何があったんだ…ここで」
「ただ事じゃないのは確かだよい」
死体が多くなっていく方に歩いていくと、その木の向こうにアンはいた。気を失っているのかむせ返るような血の中で眠っていた。
「「アン/ちゃん!」」
一歩踏み出そうとすれば、ズサッと大きく地面がえぐれた。
「な、なんだ!?」
「こりゃ、引っ掻き傷かよい」
綺麗に3本つけられた傷に嫌なやつの顔がふとよぎったが、頭を振り追い払った。
〔近寄るな、主人様は寝ておられる〕
〔お前など入ってくるな…不死鳥〕
「え、こいつら…」
姿を見せたのは、この間より少し大きくなっている猫2匹…黒いのと白いのがいるようで柄の入ったやつはいなかった。
「お前らはアンの…」
〔主人様に何用じゃ、童ども〕
〔我らが言づかる〕
「アンになにがあった。」
〔なに、他愛のない…そこらを荒らすチンピラ海賊に襲撃されただけじゃ〕
〔我らも手伝い片したから安心せよ〕
「理由は…なんでだよい」
〔…襲撃だけではダメなのか?〕
「俺たちは無益な争いで殺すことはねェよい。親父がそう決めてんだからよい」
猫は少しばかり前に歩いてきた。
〔理由は言えぬ…主人様はそれを望まぬ〕