【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
どれだけブンブン振り回そうとも、振り解けない腕は逆に力が入っていった。
『ッい!!』
「俺は異名が、怪力のデステンダーっていうんだぜ?一度掴んだものを離したことはねェよ!」
『…ッぐ、ぁ…』
ミシミシとなる腕に悲鳴が漏れる。
「ヒッヒッヒ、たまんねェな!その顔!俺の力でこの細腕を砕けると思うとゾクゾクするぜ?」
『…ッふ、せげるのは、ッた…能力だけでしょう?指銃ッ』
掴まれている腕とは逆の手で男の腕に指銃を使うと、覇気は使えないのか簡単に突き刺さり腕が離れた。
「ッくそ、このアマ!!」
『最初から構わないでって言ってるじゃない!それを守らなかったのはそっちなんだから、悪く思わないでよ!!』
ダガーを抜いて“水剣”を作ると男たちはようやく私が誰かを理解したようで顔を真っ青をしていた。
「お、おまえ!白ひげのところの!!」
「生きてたとは聞いてたが…!!」
「わ、悪かった!!謝るから!!」
「お、俺は家族がまだいるんだ!!」
「俺にも妻と子供が!!」
『家族…』
「ゆ、許してくれッ!!」
彼らにも思う家族がいるのか…殺しては彼らの家族が…と一瞬の気の緩みを見せた時、パァンと銃声が響き私の腕を撃ち抜いた。その拍子に落ちた“水剣”から水は消えて、ただの小さなダガーに戻った。
「ヒッヒッヒ…噂は本当だったんだな!」
「白ひげは家族という言葉に弱い。こいつらは家族がいると言えば、手が必ず止まるってな!!」
『…嘘だったの…』
「当たり前だろ!?俺たちゃ海賊だ!!家族なんて鼻からいねェ!!」
「白ひげみたいに腰抜けどもが集まって、家族ごっこなんかしてんじゃねェんだよ!!」
「おまえたちは時代の敗北者だ!!」
周りを見渡すと、いつのまにか集まっていた男の仲間たち。私の家族を馬鹿にして、遊びだと罵り、嘲笑っていた。
『…ごっこなんかじゃない。私たちは家族なんだ…』
「ヒッヒッ!おまえらが家族!?違ェな!!お前らはただ自分の弱さを隠すためだけに集まった敗北者どもだ!!白ひげのじじいも腐ったもんだ!!こんな奴らを集めてんだからな!!」
ですテンダーはこちらを指差して、その己の理論を言い、また私の家族を嘲笑った。
『……そんなに死にたかったんだね。』
「は?死ぬのはお前だろ!?俺らの数が見えねェのか!?」
『たかだか50人程度でよくこの新世界に入ってこれたわね』