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【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...

第81章 戻った誇りと不穏


サッチと離れて、実はそんなに遠くに入ってなかったりした。少し歩くと森があって、そこにいた。

『なんで泣かないの…か』

実際、マルコと他の女が抱きついてるシーンも見た。心がこんなに痛いのに、涙は出てこない。

『泣かないわけじゃない』

1人、木の下で黄昏ていた。雨はまだシトシトと降っており、分厚い雲もそれを覆っていた。少し寒さに身震いをした。

「あらら〜こんなところにいい女発見」

バッと聞こえた声に振り返ると、それはあちらにも予想外だったみたいで驚いた表情を見せていた。

『なんで、こんなところに…』
「そりゃこっちのセリフでしょうよ。それに生きてたの?」
『まぁ…なんとか。』
「そ、じゃあ、一応俺の頼みは叶ってわけだ。」
『なんでここにいるの、クザンさん。今は黒ひげと行動してるんでしょう?噂で聴いてるわ』
「俺ァ、勝手に一人旅してるからなァ…近くに白ひげがいるって言ってたからなァ、アンちゃんの最後の言葉でも聞かせてやろうかと思ってな?」
『遅ッ。あれからもうかなり経ちますよね!?』
「ま、色々あったわけよ…こっちにも。よっこいしょ」

ドサっと隣に座りこむクザンさんは一体何を考えているのやら。

「んで?何を泣きそうな顔してたわけ?ついにあの不死鳥と別れ話にでもなった?」
『分かれるも何も…そもそもまだ付き合ってないです』
「え…。それこそ遅すぎでしょうよ。気持ちとか気付いてんだろ?」
『…否定はしません』
「なに、やっぱり付き合うの怖いとかそう言うの?」
『…付き合うのというか…今の関係を壊すのが怖いと言うか。』
「あらら、アンちゃんも女の子だったわけね」

クザンさんは頭に手を置いて、悩んでいる素振りをしていた。

『どうしたらいいのか…分からないんです。付き合ってもないのにみっともなく他の女に嫉妬して…触れていた手が、身体が、許せないと思った。』
「あー、嫉妬してたわけね。」
『自分のものじゃないのに…ね』
「そんなものでしょうよ、恋なんて…俺ァ、惚れたなんて言う女はあんた1人だけど…正直1人の女の子の愛し方なんて知らねェからな。やっぱりボインなお姉さんのことも見ちまうし」

あまりに正直すぎるカミングアウトにクスッと笑ってしまった。

「なに?なにが言いたいわけ?」
『や、惚れたとか言う割には甲斐性がないな…と。』
「ほっとけ」
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