【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
Side.Thatch
俺たちは殴り合いをした後に話し合った。
「アンちゃん、泣かないんだぜ」
「あ?」
「お前が離れたのも、勘違いしたのも自分のせいだっていたってた。」
「…」
「どんな傷を付けられようが、どんなに痛くても泣かないんだ。俺の近くじゃ泣けねェってことかな。」
そう、アンちゃんは泣かないんじゃない。泣けなかったんだ。俺のそばだと。きっと、親父やエース、こいつのそばだったなやら“痛い”、“助けて”、“苦しい”って叫んでんだろうな。
「サッチ…お前、アンのことどう思ってんだよい」
「あ? 好きだぜ」
「は?」
「妹として…な?俺はもっとムチムチでバイーンなお姉さんがいいの。あんなじゃじゃ馬娘は対象外」
「…」
「信じてねェな?ま、エースみたいな感じだな。好きだし、愛してるけど…それは家族愛ってやつだ。だから、泣かせる奴は許せねェ」
「よい」
「ったく…世話が焼けるぜ。だいたいお前が狙ってんの知っててとるわけねェだろ?」
「…そうかい。そりゃ、悪かったねい。」
上半身を起こしたマルコはさっき見た顔よりは幾分も明るくなっていた。
「あと…」
「なんだよい」
「お前、女臭いぞ。そんなので会いにいくなよ」
「…よい」
「派手な喧嘩だったようだな。」
「なにしてんだよ、お前ら」
「ばっかだなー」
そう言って、ハッチを開けて降りてきたのはイゾウとエースとハルタ。
「珍しいよね、マルコとサッチが喧嘩して殴り合いだなんて」
「片付いたのか?」
「まぁ…ちょっとはな」
「まだ、本人には何も…」
「そうか…で、アンは?」
「あ、そういや…1人でどっかに…」
「お前それを先に言えよい」
「マルコはさっさと風呂入ってこいよ。臭ェ」
「…もうちょっと言い方があるだろうよい」
「うっせ…」
エースは少し悪態をついていたが、妹を思ってのことなんだろうな。
「エースー、俺を運んでくれー」
「は!?自分で動けよ!!」
「俺はもう体力使い切ったのー、だからー、はやくー、それに雨に濡れて力でないー」
「そういや、サッチも能力者だったな。忘れてたわ」
「なにィ!?俺の技をしらねぇからだな!くそ!覚えてやがれ!!お前たちの頭に残るくらいすげェ技つくってやんだからな!!」
俺はエースにズルズルと引きずられてモビーに上がった。