【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
Side.Marco
「やめろい、俺はもういいって言ってんだろ?」
雨の降ってる中、船の下で行われる押し問答。
「あら、サニーとは出来たのに私とは出来ないの?」
そう言ってくる女はさっきの娼館の女らしく、俺が欲を吐き捨てた女と競い合ってんだろう。俺に執拗に迫ってきていた。
「この船に私を乗せて、あなた専用の情婦になるわ!船って陸に上がるまでは溜まるでしょう?」
「帰れよい。お前を乗せることはねェ。」
何度突き返しても帰らない女のせいで服や髪はびっしょりと濡れており、正直いつものような力も出ねェ。
「帰れよい、何度も言わせんない」
「私を置いてくれるか抱いてくれるまでは帰らないわ!」
女を押し返そうとした時、鋭い痛みと背中にあたるモビーの船首。
「グハッ!」
「お前は…ここで何やってんだよ!!!」
胸ぐらを掴んで船に押しつけられたと判断できたのは、目の前にサッチが現れたからだ。
「お前ッ!!何してんだよ!?」
「離せよい」
「ふざけんなッ!!アンちゃんの話も聞かねェで、1人で勝手に決め込んで何やってんだって聞いてんだよ!?」
「お前に何がわかんだよい。」
「…ッこの馬鹿野郎がッ!!」
ガツッと頬に痛みを感じた。すぐに青い炎が上がり頬を再生し始める。
「ッわかるに決まってんだろ!?お前は俺の兄弟なんだから!!ずっと知ってんだよ!!お前らが…思い合ってることくらいッ!!」
「…な」
何言ってやがる…そう言おうとした言葉すら言う間も無く、殴られる。
「お前はッ!!なんで、1番大切なやつの!言葉を聞いてやらない!!アンちゃんが!!どれだけ思ってるか!気づいてんだろ!?」
ガツガツと殴られる度、体からあがる再生の炎。
「じゃあ、なんで俺の邪魔すんだよいッ!!」
殴りかかった腕を止めて、殴り返した。
「ゲホ…邪魔なんかしてねェ!!」
「してるよい!俺たちの間に割って入ったのはおまえだろい!」
「なんの話か知らねェけど!!俺はただ能力の練習に付き合ってくれって頼んだだけだからな。」
殴るのをやめた俺たちは、地面に背中をつきながら話をした。あの時、俺は勝手に勘違いをしたこと。アンがそのことを話そうとしていたこと。娼館に行ったこと、女と抱き合ってるのを見たことを聞いた。
「くそ…最悪だよい」
「お前のせいだからな」