【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
Side.Thatch
アンちゃんが部屋の中に入って行った後、俺はエースたちが話していたことを思い出した。
ーーー
ーー
「だから、マルコが!」
「ん?なんかあったわけ?」
あまりに焦った声をイゾウに上げていたエースに後ろから話しかけると冷たい目を向けられた。
「え?何その目」
「お前さん、やってくれたな。」
「なにを?」
「マルコに勘違いをさせて、アンとの仲を拗らせたようだな」
マルコ?仲を拗らせた?
「なんの話だよ」
「アンと付き合ったと思わせるような話をしてたんだろ?」
「マルコがそれを見て、どっかに行っちまった。アンのやつ、勘違いをさせたままだって言ってたぜ?」
「付き合ったって…あぁ、訓練に付き合ってもらう話か?それをなんで勘違いに?」
「途中からしか聞いてなかったんだろう?」
“これは推測だがな”と紫煙を吐き出すイゾウ。
「マルコはお前さんたちの話を途中から聞き、アンとお前さんが付き合ったと勘違いをした。今までのことが全て無駄になり自暴自棄になってやがる。」
それを聞いた時、そのことの重大さにようやく気がついた。
「ッマルコは!?」
「おそらく娼館だろうよ」
「ッ馬鹿が。」
「それはお前さんも同じだろう?俺たちは知ってたはずだ。あいつらが互いに互いを思い合ってることを…それをわかっていて気をつけなかったお前さんのミスだ。」
イゾウに言われた一言は俺の心に突き刺さった。
「アンが探しに行ってる、止めてくれ。」
「あァ」
俺は船を飛び降りてアンちゃんに合流した。話をすると流石に頭が回るアンちゃんはたった一言で全てを理解した。そして、全ては“自分のミスだ”と言った。
そんなことねェ!これは俺のミスだ!なんて言って聞くような子じゃないのも知ってる。だがら、アンちゃんの望むことをした。そんなに泣きそうな顔をして笑わないでほしい。
で、今に至るわけだが…おやっさんが言ってた3時間はもうすぎており、未だにアンちゃんの悲鳴は響いていた。
『いた、い…やッ…いや…』
“やめるのか”と聞かれても、“続ける”と返していた。そして4時間が経った時、“終わったぞ”と声がかかった。出てきた姿に驚愕した。
「アンちゃん」