【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
Side.Marco
「そう言うない。なんかあれば連絡くれよい」
「グラララ…楽しんでこいよォ」
「こんなもんか…」
「マルコ隊長…アン副隊長が探してましたよ?」
「そうかい。それよりエースはどこにいる?」
「あそこのメインマストのところに」
「そうか、俺は船から降りるからよい。見張りはしっかりしろって言っとけい」
「はい!!」
アンが探している…今更、なにを…?俺にサッチと付き合ったって報告か?そんなものいらねェ。
久々に島に降りると、真っ先に向かったのはそういう店。酒を頼むと運んで来るのは際どい格好をした女たち。自分の体にやたら自信があるのだろう。胸や腰やらが見えている。
「あら、マルコ隊長…久しぶりじゃないですか?」
「そうだねい」
「なかなか来てくださらないから、寂しかったんですのよ?」
グイッと押しつけられた胸に少しばかり嫌気がさす。前までは島に行くたびにサッチと好んで女を探しに行った。いつから、こんなに貞操を固くし始めたのか。
ーマルコッ!
記憶の中に響く声を頭の片隅にやり、近くにいた女にキスをする。あんなに可愛い反応はなかったが本能と欲望が呼び覚まされたのは言うまでもない。
「今日は相手してくださるの?」
「あァ…たっぷりしてやるよい」
耳元でそういうと“やったァ”と声を上げて喜ぶ女。こいつの名前なんか覚えてねェし、抱いた記憶もねェ。
ただこのどす黒い感情が消えるように、そして、また明日は笑顔であいつに会えるように出来たらいい。
「あ…ん…マルコ、隊ッちょ…」
紡がれる声が不快だった。だが、欲望には体は忠実なもんで俺は用意された部屋にベッドに女を組み敷いて、コトに及んだ。
俺を選んでくれたなら…
俺がしっかり伝えていたなら…
なんて後悔が頭に過ぎったが、今更考えたところでアンはもう俺のところにはこない。
「クソッ」
「あァッ…や、ん」
女の体を気にしないで、怒りに任せて抱いたのは久しぶりだった。情事が終わればそのまま部屋を出るはずだが、何回も何回も女が気を失うまでそれは続いた。
気を失った女を見て、窓の外は目をやると雨が降っていた。
「…俺の心でも見透かしたつもりかい」
その降り注ぐ雨とは関係ないとはわかっていても皮肉な言葉を紡いでしまう。
俺は金を置き、モビーへと帰った。