【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
Side.Marco
俺はアンに言われた通りに帆を畳むようにそこら辺にいた奴らに指示を出した。
「船がスピードを上げる!注意しとけよい!」
「「わかりました!!」」
エースも甲板にまだいるようだから、きっと海王類や敵船は問題ないだろう。アンに早く会いたいという気持ちから、操縦室へ急ぐと締まりかけの扉の向こうで仲良さそうに喋る2人。
「サッチ…」
ボソッと出た言葉だったが、兄弟に嫉妬するなんてな。俺もまだまだみたいだよい。
中に入ろうと手をかけた時…
「でしょ? だから、アンちゃん」
『ん、わかった。付き合ってあげる。』
ガンッと思い切り頭を鈍器で殴られたような感覚だった。伸びていた手はいつの間にか下に下がり、心にポッカリ穴の開いたような感覚がした。
そんな俺にも気づかず2人は未だにニコニコと話していた。
前から思っていた…もしかしたら、アンは俺のことを家族以上に見ていないんじゃないか…見れないんじゃないか…と。
足を翻し、自室に入ると部屋の鍵を閉めた。
「サッチが好きだったのかよい…」
漏れた本音はドンドン俺の心を黒く染める。だが、それと同時に今までかけていた愛情がスッと覚めていくような気がした。
だから、俺の話は聞かなかったのか…
だから、俺を男に思ってなかったのか…
警戒心がなかったのは…
そう思うとドンドンと心が荒んでいく。
「マルコ隊長!」
傷ついた心を癒してる暇なんて、与えてくれなかった。
「今いくよい。各隊長にあと数十分で島に着くから準備しろと伝えろい」
「はい!」
「隊員にも必要なもののリストアップしろと言っとかよい」
「すぐに!!」
書類を片手に船中を走り回った。少しでも気が紛れると、気分も良くなった。
島の近海に船が来た時、船はスピードを落とした。それを機に各部隊への指示は俺は走った。
「1番隊は非番だからねい!島では揉め事起こすなよい」
「「わかりました!!」」
「機関室は船のチェック念入りにしとけよい」
「「もちろんです!」」
「ナースたちも買い物はいいが、島が大きいからない。用心棒なりなんなり、連れて行けよい」
「「わかってますわ」」
「親父!俺は今日は島に降りる予定だからない。酒飲みすぎんない?」
「グラララ…てめェなんぞ、勝手に行けェ!」