【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
「お前、白ひげんとこの小僧じゃねェか。また何しにきた」
「小僧って歳じゃねえっての。」
“なんだそのちんまいのは”と言って店の奥から現れたのは、顔にかなり大きな傷があり、剥き出しの腕に深く掘られた刺青を隠すことなく見せているおじさん。
「この子、結構前に入った新人でね。アンちゃんっての、オレの妹」
「そうか。で、なんのようだ?そんな綺麗な小娘にここは不釣り合いだろう?」
『わたしが望んで連れてきてもらったんです。ここに…親父様のマークを戻してほしいから』
そうわたしがサッチに頼んだのは…
ー刺青を彫ってくれる店を教えてほしい
「戻してほしい…だと?」
『えぇ、もともと…ここにはあったんです。でも落し前戦争の時最後の攻撃で…傷を負って消えてしまいました。戻してほしいんです。』
「見せてみな」
手招きをされて、腹部を見せに行く。
「こりゃ…バズーカでも撃たれたのか?お前さんよく生きてたな」
『…一度は命を落としました。でも、みんなのおかげで帰ってこれた。親父様にも迎えてもらえた。だから!』
「わかったわかった。白ひげんとこのマークを入れりゃいいんだろ?ちなみに傷を負ってから何年だ」
『…一年半です。』
「ん、問題ないな。だが、傷の上だ…それなりに深く入れる。痛むぞ?」
『構いません。』
「いい目だ。おい小僧!この娘はオレが預かる。3時間後に迎えに来な」
「いや、ここにいさせてくれ。」
「あ?まぁいいか…詐術室の中は覗くんじゃねえぞ?」
「おう!」
サッチはどうやら待ってくれるようだ。部屋に案内された。
『もう一つ、ここに彫ってほしんですけど、』
「それはいいが…どっちもかなり痛いぞ?」
『いい。痛みには慣れてます。』
「絵は決まってんのか?」
『もちろん』
紙を一枚見せると“フッ…若いな。後悔するなよ”と忠告をされた。“しませんよ”と返すとおじさんにっこり笑ってわたしに指示を出した。
「タオルを噛んどけ…いいか、やるぞ?」
『ッう…ぐッ』
骨を突き刺すような痛み、あの傷がえぐられてるみたいに痛い。
『ぅ、あァ…ッ』
「舌噛むなよ」
『噛み、ませんッ』
「そうか」
乱暴に言い放ったその言葉を最後に私たちに会話はなかった。ただ痛みに耐え続ける。その詐術が終わったのは、予定より1時間遅く4時間が経ったときだった。
「終わったぞ」