【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
島に着いたのはかなり早く、あの話から数十分後だった。
『ねぇ、マルコ知らない?』
「さっき、あそこに」
『ねぇ、マルコ知らない?』
「医務室に行くって言ってましたよ?」
『ねぇ、マルコ知らない?』
「さっき船長さんのところに向かったわよ?」
『親父様、マルコは?』
「グララララ、なんだァ?喧嘩でもしたのかァ?」
『違うよ!』
「船がついてるからなァ…島に上がったんじゃねェかァ?」
そう、お察しの通り…船を島の近海に着けた後すぐに探しに行ったが会うことができずに今だ。
『…まずい』
「なにがだ?」
『…エース!!マルコ知らない?』
「あ?マルコなら、みんなの指示出して1番隊は今日は非番だからな。さっさと島に降りちまったぜ?」
サーッと血の気がなくなるとはこのことを言うんだろう。マルコはきっと勘違いをしたまま、島に降りた。
「なんかあったのか?」
『…どうしよう。マルコ、勘違いしたままだ。』
「なにがあった。」
エースに事の次第を説明すると“あいつもアンのことになるとほんと冷静じゃなくなるよな”と言って頭をかいていた。
『…島探してみる』
「そうか…俺は今日は見張り番だからいけねェけど。頑張れよ」
『うん』
エースに礼を言って船を降りると既に他の隊も島に降りていた。こんなに大勢いる中で見聞色を使えばかなりの負担になる。町自体もすごく栄えているようで人が溢れていた。
「アンちゃーん!」
『…サッチ!』
「話は聞いた…けどマルコは今は会わないほうがいい」
サッチは苦虫を潰したような顔をしていた。
『…娼館に行ったのね…』
返事はなかった。でも、目を逸らされたその行動だけが正解を示していた。
『そっか。じゃ、仕方ないよね。また会ったときに話すよ。サッチ、先に連れて行ってよ』
「…いいのか?」
『なにが?』
「本当にいいのか?マルコが他の女を…『どうしようもないから。気持ちを伝えてないのも、今回の失言も私のミス。だから、仕方ないの』アンちゃん」
『ね、船を降りることがないなら絶対会えるからね!先に私たちの用事を済ませよう!』
「あァ」
サッチに連れて行ってもらった店は少し裏路地の薄暗いところにある店で【Stamp】と書かれていた。
「おやっさん、いるかー」
「あ?誰だ?」
店の奥から声が近づいていた。