【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
「よし、ここだよい。あとは…」
『前に進めるんでしょう?』
ズズッとゆっくりと速度を上げていくモビー。
『あ、帆が邪魔だから畳んで欲しい』
「ん、言ってくるよい」
『頼んだ』
マルコはサッチに睨みをきかせるとそのまま外へ出て行った。
「アンちゃんってさ、愛されてるよね」
『自覚してるから大丈夫』
「そういうところ…。あ、そういえば頼みがあんだけど。」
『ん?』
「俺の能力…調べるの手伝ってくんない?」
『へ?』
そう言えばサッチも能力者だったっけ…私が無理やりしたんだけど。あまり能力を使うことがないから忘れてた。
『なんで私?』
「1番、能力者を多く知ってて、使い方を知ってて、しっかりと教えてくれる人がいいから」
『確かに…エースやマルコは勘で動かしてるだろうし、ジョズに説明は難しそうだね』
「でしょ? だから、アンちゃん」
『ん、わかった。付き合ってあげる。ただし…』
サッチの耳元で小さな言葉を紡いだ。
「それ、俺は許可出来ないんだけど。」
『親父様には許可もらってるから私を止める権利は、皆様にはありませーん』
「ちぇ…わかった。俺の特別なところ教えてあ・げ・る」
ウィンクをわざわざつけて話す口調に寒気がした。
『気持ち悪い』
「ひどッ!じゃ、また島入ったらね〜」
『うん!』
サッチはひらひらと手を振ると食堂に戻って行った。
「アン副隊長…サッチ隊長と付き合ったんですか?」
『え?』
突然話しかけてきたのは、先程の操縦をミスしていた隊員くん。
『そんなわけないでしょ?どうして?』
「ほら、さっき付き合ってあげるって…」
『あぁ…あれはサッチの用事に付き合ってあげるって意味だよ?』
「えっ!?」
「おい、まずいんじゃないか?」
「どうするよ」
ザワザワと騒ぎ出す隊員に一度立ち上がった。
『なんの話?』
「さっき…付き合ってあげるって話してた時、後ろで…マルコ隊長が…」
『…聞いてた?』
「は、はい」
『そ。』
「いいんですか?」
『なにが?』
「訂正しに行かないで。」
『…後でいいと思うけど。それより前見ててくれる?船のスピードあげるから』
マルコが勘違いしてるかも…って?そんなの、そんなわけない…と思いたい。あんなに分かりやすく伝えているつもりなのに。
「アン副隊長?顔真っ青ですよ」