【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第81章 戻った誇りと不穏
『ふわぁ…』
「でかいあくびだな…ふわぁぁ」
『エースの方がでかいよ』
ルフィたちと別れてもう何日も、モビーは戦闘も何も起こらずのんびりと新世界を航海していた。
「アン、ちょっといいかよい?」
『はーい』
エースとのんびり甲板に座っていると、マルコが書類を持って声をかけてきた。
「もうすぐ、島に着く予定なんだがよい。ちょっと食糧のほうが持ちそうにないんだよい」
『うん…船足を早めて欲しいのね!』
「話が早くて助かるよい」
『ねえ!町はあるの?』
「町?あぁ…かなり大きいのがあるがよい。」
『そう!』
「なんかあるのかい?」
『男娼でも買おうかと…』
「あ?」
そう言って私の頭を鷲掴んでいるマルコは、覇気が込められておりミシミシと言っているような気がする。
『いたたた…冗談!冗談だから!!』
「笑えねェ冗談言ってんじゃねェよい。で、本当は何をするんだ?」
『んー、内緒!』
「…よい。」
『さ、島の方向を教えてよ』
「あァ…」
マルコを連れて操縦室に向かうと、地図が既に広げてありログポースも近くに置いてあった。
「ここから、2時の方角にタノッシーノ島があるよい」
『ふぅん…まずは船体から動かさないとダメだね』
「そうだねい。ちょっとズレてるよい」
“全く何してんだよい”なんて言いながら、操縦していた隊員を怒っていた。それでも笑いながら話しているところを見ると小さな幸せを感じた。
「マルコ…かっこいいな〜とか思ってるだろ?」
『ッ!!』
急に話しかけられた上に、少し心の中を見られたような発言にドキリとした。後ろを振り向くと、サッチがニヤニヤとこちらを見ていた。
『でた…お節介。』
「違うっての。まだ…言ってないの?」
『それがお節介だってのよ。いいのよ、今はこの距離で』
「そんなことしてたらよその女の子に取られちゃうぜ?マルコって意外とモテたりしてるから。」
『そこに関しては心配してないわ…マルコって一途でしょう?』
ニコリと微笑みながら人差し指を口に当てて言うと“小悪魔め”なんて言葉が返ってきた。
「アン…とサッチ何してんだよい」
『ん、ちょっと内緒話』
「そうかよい」
「妬くなって。世間話してただけだぜ?」
『そうよ、さ、船動かすよ』
「頼むよい」
床に手をついて、真下の海水を少し動かすと自然に船体も動いた。