第78章 二人の夜

Side.Marco

『…馬鹿だったよね。』

そう呟く声とじっと見ているであろう視線に目が覚めた。
「そんなにみられると穴が開くよい」

そう声をかけるとびくりと体が跳ねていた。起きてるとは思わなかったのか？

『お、起きてたの！？』
「ふわぁ…今な。何かしてたのかい？」

悪戯な気持ちからそう聞くと、にっこりと笑顔で返してきた。
『マルコの顔を見てた…かっこいいな…って』

あくびをしていた俺にはかなりのダメージで、口を開けたまま固まっちまった。

『マルコ？』
「…ここは俺の部屋だってわかってるかい？」

起こしていた身体を押すと、簡単にベッドに沈む。

「そんなことを言われたら…朝から食っちまうよい？」
『……そうね。』
「アン…おれは…お前を「おーい、マルコ！！！」」

ここで流される訳にもいかない。まずは気持ちからと思い、ずっと溜めていた思いを言葉に出そうとしたが、やはりうまくはいかないようだ。そこにいたのは赤面をしたエースと後ろで頭に手を置き“やっちまったー”って顔をしてるサッチ。

「おま、お前ら…そういう…」
「うるせェよい。足がもつれただけだよい」

くそ、邪魔が…またかよい。

『クス…そうね、もつれただけよ。』
「アン！！マルコみたいなおっさんに騙されんなよ！？」
『はいはい。おはよ、エース、それにサッチ』
「おはよ！」
「あー、おはよ…アンちゃん、それにマルコ…」

アンに気まずそうに挨拶を返すサッチを掴み、話を聞いた。

「悪いって…止められなかったんだよ」
「お前…分かってたわけだろい？」
「だから、ごめんって！エースのやつ人の話聞かねェで走っていくから！！」
「はぁ…おかげで今回も…」
「まじかよ！？まだ言ってないのか！？一晩中なにしてたんだよ！」

“ゆっくり眠ってた”なんて言えば“お前不能なの？”なんて返ってきたからそのフランスパンを鷲掴んでおいた。アンとエースは弟の様子を見にいくようで、海面へ旅立って行った。

「アンちゃん、あの格好で寝てたわけ？」
「あァ…」
「よくもったな〜。」
「キレそうな糸を必死に繋いでたよい」
「あ、そうなんだ…お疲れさん」

とりあえず、朝からあんな発言をされ…

「無意識にも困ったもんだよい」
「頑張れよ、マルコ」
「よい。」